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130章目 嘘
「……気づいたようだな。数多くの矛盾点、それに対する君らなりの仮説。『この世界は仮想である』、ということ」
公楽がトントントンと足音を響かせつつ、俺らのところへと歩み寄る。
ほかの2人も、黙っているが公楽の後ろに付き従っていた。
「どれが本物かわからなくなったのだろう。生きているのか死んでいるのかさえ疑いたくなってくる。そういうことになってきたのだろう」
足音は俺の心臓の動きに同期しているように感じる。
トントントン、少し早めに心臓が打ち始めた。
この感覚も、果たして嘘なのだということができるだろうか。
すべてが、この世界が本当に嘘なんだと思えるだろうか。