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128章目 映像
地上は、さっきと同じ、誰もいやしないところになっていた。
しかし、よく目を凝らしてみると何か違和感がある。
「ちょっと待って」
澤留に、俺がいう。
「なに?」
「おかしくないか、これ」
俺が気づいたところに、ゆっくりと近寄っていく。
「どうしたの」
「映像だ……」
違和感の正体がわかる。
少しずつ、少しずつそれに近づいていくと、やっとわかった。
「今まで見ていたの、全部が全部映像だったんだ」
それは、授業で見たような気がする、そんなあやふやな記憶。
でも、それだけで十分だった。
目の前にあるもの、その全てがもしも造られたものならば。
「ねえ、どうしたのよ」
澤留はまだ気づかないようだ。