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122章目 倒れ込む
遠くへ意識が逃げていく気がする。
それは、流れ込んできているガスのせいだろう。
明らかに今までなかった気流が、身体の周りを取り巻いているのが、肌感覚で理解できた。
「エリーゼ……」
気を失いそうになる。
膝をつき、その場に倒れ込んだ。
ドサっいう音で、澤留も同じ状況だということに気づく。
「予定通りとはいかないが、それこそが人生というものだろう。君らには悪いが、世界はやはり戦乱を求めているようだ」
緊急放送を繰り返している自動音声がわずかに聞こえる。
その時、不意に風が止んだ。