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120章目 同一

「アナムネーシスなら、エルゴシステムと同一となった」

ライトメイヤーが俺らに告げる。

「どういうことだよ」

「言ったとおりだ。アナムネーシスは、エルゴシステムと同一となった。今や分離することは不可能だ。それもこれも、君らが無事にアナムネーシスを持ってきてくれたおかげだ。礼を言うぞ」

「ありがとう、って返す気にはならないわね」

澤留が答えた。

ライトメイヤーたちは前と変わらず、かなり巨大な装置の前に立っていた。

アナムネーシスことエリーゼは、彼らの足元で黙ってその装置にケーブルをつなげてジッとしている。

「自我があったのに、それも消したというのか」

「自我は単なる副次的な産物にすぎん。もともと、惑星管理システムであるエルゴの末端部の補修や工事をするためだったロボットを改造して、真に必要となるときまでその意図を隠すために、それぞれ鍵を撒き、アナムネーシスを眠らせた。本来ならもう少し早くするはずだったんだがね」

「でも結局、地球はとてつもなく怒っているわよ。宣戦布告したとニュースで言っていたわ」

「許容範囲内だ。こちらにも数千発の核があることは向こうも理解しているはずだ。今度はこちらに全く手がないわけではない。向こうからこちらへ3か月かけてやってくる頃には、こちらの準備も整っている。エルゴシステムのみではそのすべてを把握することはぎりぎりの能力しかない。しかし、アナムネーシスを接続し、そのシステムとすることにより、軍事活動を行うには十分すぎる能力を発揮することができる。なんといっても、自我を生み出すことができるだけのコンピュータだ。通常業務と並行して軍事行動を起こすのは難なく行うことができる」

ライトメイヤーの横では、公楽とスーザンが同意するためにうなづいていた。

彼らもまた、人類が滅んでも構わないと思っているようだ。

「エリーゼは、これからどうなる」

「アナムネーシスのことだな。君らは確かそう呼んでいたな。安心するがいい。アナムネーシスは結局のところ元いた生活に戻るだけだ。つまり、エルゴと呼ばれる火星全体を支えるためのシステムの一部だな」

公楽がこの辺りは設計したのか、詳しいようだ。

だが、それだけでは到底納得できない。

そもそも沢郎さんらもどうなることか。

眠らされているか、催眠術みたいにいつも通りの日々が起こっていると考えさせて動いているか。

どちらにせよ、普通ではないことを普通だと思わせられていることは間違いないだろう。

なら、俺らがすることは、それを正すことだ。

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