12章目 郊外施設
郊外施設というのは、それぞれのドーム同士をつなぐための中継施設だ。
電力や情報と言ったものを、原則として中継している。
だが、ほとんどは地下に埋設された形であって、年に1回だけの定期点検以外は、人が行くことはない。
なお、場所は誰もが簡単に調べられるので、俺たちはすぐにその方向へ向かうことができた。
「ここが、一番近くの郊外施設だね」
沢朗さんが、俺たちにいう。
そこには、地下へと降りるための通路があるだけで、他には何もないさみしいところだった。
「ここは居住用スペースはあるとはいえ、緊急避難用程度だからね。めったに人は来ないし、どうなっているのかわからないから」
エリーゼを下して、バギーは、すぐそばにある駐車スペースに留置する。
「これでよし。では、降りるよ」
沢朗さんが持っていた鍵で、シャッターを開けて、地下へと続く階段を、一段一段降りて行った。
真っ先に降りた澤留が、懐中電灯を使って、通路の照明スイッチを押した。
「殺風景ね」
事務的なものしか置いてなくて、居住用とは思えなかった。
「確認して帰るだけだから、居住することはないのよ」
喜子さんが、澤留に言った。
その時、ゴソゴソと物音が聞こえてきた。
すぐに護身用の警棒を構えて、沢郎さんが物音の方向へにじり寄る。
「誰だ!」
一気に飛び出して、相手に警棒を向ける。
それは、俺たちが来ていることに気づいていなかったらしく、大慌てで逃げようとした。
「待て!」
それを沢郎さんが抑えた。
俺も加わって、その人を押さえつけた。
ようやくおとなしくなった時、やっと追いついたエリーゼが、叫んだ。
「あなたは、ライトメイヤーさんですか」