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118章目 重ねる手
階段は前と同じようにとても長く感じる。
だが今度は休憩しているような暇はない。
どんどんと降りていくと、今度も前と同じようなドアが待ち構えていた。
「大丈夫?」
俺は一応澤留に聞く。
澤留は息が上がっていたが、それどころじゃないという表情を向けてきた。
「……わかった」
ドアの取っ手に手をかける。
とても重く感じる。
俺の手に、澤留の手が重なる。
いつの間にか、息は整っていた。
「あけるよ」
「ああ」
澤留の声に合わせ、っせーの、でドアを一気に開けた。