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114章目 宿題
バギーカーの中にいたとしても、何か寂しい気分がある。
すぐ近くにいた、今までずっと一緒にいた人がいなくなったようなそんな寂寞感がある。
「ねえ、何かやっぱり変だよ?」
こそっと俺に澤留が耳打ちする。
「そんな気がするな。何かを忘れているような……」
でも、それが何かは分からない。
分かっているのにどうすることもできないもどかしさがある。
「そうだ、宿題の自由研究のレポートは書けたか」
澤留へ俺は聞いてみた。
「書けたよ。昨日必死になってね」
1つのドームについて、A4ルーズリーフに2枚か1枚ぐらいずつ。
写真も文章もよくまとめられていた。
表紙は火星の上空から見たと言われている写真が1枚。
それと、表題と俺らの名前だ。
最後のページには、沢郎さんらの、協力してくれた人たちの名前も書いた。
学校に出すには十分すぎる宿題になっただろう。