111章目 打ち上げ
ロケットは発射台から見事に打ち上がっていく。
煙を上げるのは学校の映像では見たことがあるが、ここではそんなことが起きないようだ。
しだいに地上の映像では見えなくなると、上空にある衛星からの映像へと切り替わる。
今度はたしかに、なにもなくロケットは衛星たちの中を通り抜けていく。
「……200kmを通過。宇宙空間に到達。これより分離シーケンスへ移行」
モニターを見つめたままの公楽が、現在のロケットの話を教えてくれた。
誰にも邪魔をされることなく、その分離シーケンスなるものを見ることになった。
ようは、ロケットの先端部が割れて、そこからさっき言っていた人工衛星が飛び出してくるだけのことのようだ。
そして、この衛星は火星をグルグル回りつつ、次第に離れていく。
「予定通りだな」
ライトメイヤーは別のモニターを見ている。
そこには、火星と2つの自然衛星、それにたくさんの点で表示されている人工衛星の現在位置が示されていた。
その中の1つが、今打ち上げたものらしい。
ただ、俺には見ていても何がなんだかわからないだけだ。
「発射は完全に完了。惑星間軌道へ遷移。完了。あとは自動ね」
スーザンがライトメイヤーに伝えた。