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11章目 出発
バギーの中は、見た目の大きさよりも狭く感じた。
「酸素ボンベとか積んだら、スペースがね」
沢郎さんは、苦笑いしながら俺たちに言った。
これ以上広くすることはできなかったらしいが、外に出れるだけ十分だろう。
シートベルトをつけて、エリーゼも座席に固定した。
澤留が小さいだの、シートベルトが見つからないだの言ってたので、俺が付けてやる
「あら、ありがとう」
「どういたしまして」
シートベルトの斜めに走るところが、ちょうど鎖骨に当たっているらしく、少し調節していた。
「目的地はどこだい」
沢郎さんが俺たちに聞いた。
「一番近くの郊外施設へ」
澤留が沢郎さんに元気良く伝える。
「よっしゃ、じゃあ掴まっときな」
アクセルを一気に踏み込んで、勢いよくASのバギーカー置き場から飛び出した。