表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
104/137

104章目 巨大

「お久しぶり」

真っ暗の部屋で俺らへ声が掛けられる。

少しだけ間が空き、パッと電気が付いた。

眩しさで、反射的に目を覆う。

誰だ、と名前を言わなくても、誰かということは分かった。

「ライトメイヤーさん、これはどういうことなんですか」

俺はその声の主へと尋ねる。

真っ先に思ったのは、沢郎さんたちの安否だ。

「沢郎さんたちは無事なんでしょうね」

さっきの言葉に続いて、俺はさらに言った。

「彼らは無事だ。催眠状態にあって、今は意識はないがね」

「それよりも、早く始めてしまいましょ」

女性の声、彼女は間違いなくスーザンだ。

いよいよ俺らも目が慣れてきて、ここが何かを知ることができるようになった。

巨大なコンピュータが、部屋の大半を占める部屋。

まるで、学校で見た、昔の地球のサーバー室にそっくりだ。

「そうだな、パーツは揃った」

俺らの背中からの声は、こうなるとただ一人、公楽だろう。

「アナムネーシス、こっちへおいで」

ライトメイヤーが、エリーゼの本名を言う。

すると、エリーゼは、スルスルと彼の元へと動いた。

「一体、何をするつもりで……」

俺の言葉は、ライトメイヤーの言葉に遮られる。

「君らは、エルゴと呼ばれるAIの都市伝説を聞いたことがあるだろう。今ではゆるくなってしまったが、昔はドームごとにある管理AIも、互いに密接に通信をしていた。だが、このエルゴだけは違う。入植時、この設備は、あったかもしれない未来のために作られた。火星を地球のように改造する計画、つまりテラフォーミング計画のためだ。だが、結局されることはなく、設備だけが残された。この計画、実は地球の科学者が作ったものだったらしくてな、すっかりとこの火星の大気や重力といった物理的要素を忘れていたようだ。そして、各ドームのAIは、それぞれの都市を構成し、火星統治の基盤となる予定だった。しかし、テラフォーミング計画が破棄され、結局このサーバー群は使われることはなくなった」

「じゃあ今見ているこのコンピュータたちは」

「そう、使われなくなったが、今はこうして僕たちのために働いてもらっているものらさ」

ゴウンと何かの音が、部屋に響いていった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ