103章目 ドア
階段は、思った以上に深く、時間の感覚もなくなるほどに降り続ける羽目になった。
どんどん降り続け、しかしようやく終点へたどり着いた。
「ドア、だね」
「そうだな」
少し休憩をいれようかと思い、ドサッと俺は床に座る。
「少し休憩だ」
俺はドアを左肩に就けるようにして体を支えさせる。
澤留は俺の目の前でペタンコ座りをしていた。
「しかし、このドア、どうやって開くんだ」
ドアだという認識はできる。
しかし、取っ手も穴も、手を掛けられそうなところは何一つない。
ただ小さな、博物館で見たイヤホンジャックのようなものだけが1つあるだけだ。
「……これってさ」
俺が澤留に目配せをする。
「……多分、考えていることは同じだよ」
俺らは同時に、一緒に降りてきたエリーゼを見た。
「エリーゼ、すまないけどこの扉を開けてくれないか」
ドアに近づき、それからそのジャックへと腕のような触手のようなものをのばす。
それがわずかに形を変えたように見え、直後にジャック全体を包み込んだ。
途端、カチと音が鳴り、ドアは中心から左右に開いた。
「どうやら正解だったようだな」
俺は休憩を切り上げ、澤留とエリーゼと一緒にドアの向こうへと足を踏み入れた。