10章目 バギーカー
扉の向こうは、燃えているかのような紅だった。
「ここが、ドームの外だよ。普段は立ち入ることすら許可されていない場所」
沢朗さんが俺に教えてくれた。
「さあ、行こうか。足元には注意して。バギーは外からじゃないと出すことができないんだ」
中から出せれば、もっと簡単に外に出てしまうからねと、沢朗さんが残念そうに付け足した。
出てから1分もかからずに、すこし回り込んだところにバギーの保管庫があった。
そこのシャッター脇にある管理棟に沢朗さんがあいさつしに行って、それから、シャッターを開けてもらっていた。
シャッターが開いた時、中から8人乗りの乗用車ぐらいの大きさのバギーカーが出てきた。
「これが乗るバギーだよ。段差高45センチなら楽に乗り越えれるし、4メートルの割れ目も飛び越える事ができる。1時間に1回、現在地を知らせるための電波を出し、緊急時には積んでいるAIが自動的に現在地を知らせてくれる。食料や水は1年分、空気は循環式の空気清浄機が備え付けられている。一応、光合成をする様に、多少草も持ち込んでいるが、まあ大丈夫だろう。他に必要な物は?」
沢郎さんが、俺たちに聞いたが、他に思いつく物は無かった。
「よし、じゃあ乗り込もう」
沢郎さんに言われて、俺たちはバギーに乗り込んで行った。