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【連載版】可愛げがないと言われ続けた令嬢ですが、有能だと気づいてくれた人と婚約しました   作者: ピラビタ
可愛げがないと言われた令嬢

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9/22

その歩幅

 社交の場に顔を出すのは、久しぶりだった。


「形式的な挨拶だけです」

「分かっています」


 レイン様の隣に立つと、自然と背筋が伸びる。


 ざわめきは、すぐにこちらへ向いた。


「……本当に婚約なさったのね」

「ええ」


 声を掛けてきたのは、かつて同じ年頃だった令嬢。


 以前は、私を遠巻きに眺めるだけの人だった。


「昔は、少し近寄りがたい印象でしたけれど」

「そうでしょうね」


 否定はしない。


 彼女は、私の反応に少し戸惑った様子だった。


「でも今は……落ち着いていて、素敵だと思います」

「ありがとうございます」


 その言葉に、嫌味はなかった。


 評価が変わったのではない。

 見る側の視点が変わったのだ。


 ***


「あなた、本当に変わったわね」


 別の令嬢が言った。


「そうでしょうか」

「ええ。昔は、何を考えているか分からなかった」


 私は、少しだけ微笑む。


「今も、あまり話しません」

「……確かに」


「ただ、必要なことは伝えるようにしています」


 それだけだ。


 沈黙が気まずくなくなったのは、

 私自身が、自分を受け入れたからだろう。


 ***


 帰り際。


「疲れましたか」


 彼が、低い声で聞いてくる。


「少しだけ」

「では、今日は早く帰りましょう」


 人目を避けるように、静かな廊下を歩く。


「昔の知人に会うのは、億劫でしたか」

「いいえ」


 私は、正直に答えた。


「以前の評価が、今はどうでもよくなっただけです」


 彼は、少しだけ目を細めた。


「強くなりましたね」

「いいえ」


 首を振る。


「やっと、無理をしなくなっただけです」


 その言葉に、彼は何も言わなかった。

 ただ、歩幅を合わせてくれる。


 それが、何よりの答えだった。


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