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【連載版】可愛げがないと言われ続けた令嬢ですが、有能だと気づいてくれた人と婚約しました   作者: ピラビタ
その評価は、王都でも覆らない

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22/22

王命の行方

 その招集は、突然だった。


「王命会議が開かれます」


 使者の声は簡潔で、拒否の余地はない。

 王都の中枢――主要貴族、官僚、そして王族が一堂に会する場。


 私は、静かに書類をまとめた。


 ここまで来た。

 なら、逃げる理由はない。


 ***


 円卓を囲む会議室は、重苦しい沈黙に包まれていた。


 議題は一つ。

 王都西部の流通停止。


 複数の貴族家の利権が絡み合い、互いに責任を押し付け合った結果、物流が麻痺した。

 影響はすでに市井へ及び、民の不満も高まりつつある。


「原因は明白だ」


 声を上げたのは、

 ガルディア=ベルモント侯爵。


「改革を急ぎすぎた官僚側の判断ミスだ」

「現行制度を維持していれば、このような事態にはならなかった」


 同調する声が、いくつも続く。


 ――つまり。

 責任転嫁だ。


 私は、発言を求めなかった。

 今は、聞く立場でいい。


「対策案は?」


 王女殿下の問いかけに、侯爵が胸を張る。


「一時的に、旧来の流通枠へ戻す」

「各侯爵家が管理を引き受け、再調整を――」


「却下」


 短い言葉だった。


 王女殿下は、侯爵を見なかった。

 視線は、会議室の端――私に向けられていた。


「ノートン嬢」

「はい」


「あなたなら、どうしますか」


 一瞬、ざわめきが走る。


 私は立ち上がり、円卓の中央へ進んだ。

 許可を待たず、資料を広げる。


「流通は止まっていません」

「“詰まっている”だけです」


 地図。

 数字。

 矢印。


「旧制度に戻せば、混乱は三ヶ月続きます」

「ですが――」


 私は、一本の線を引いた。


「中継権を一時的に切り離し、官直轄で再配分する」

「侯爵家の顔色を窺う必要はありません」


「なっ……!」


 ベルモント侯爵が声を荒げる。


「それは、貴族の権限を――」

「越えていません」


 私は、即座に返した。


「王権の範囲内です」

「資料三枚目をご覧ください」


 静まり返る会議室。


 王女殿下が、ゆっくりと頷いた。


「合理的ですね」

「実行可能です」


 そして、決定打。


「本件、ノートン嬢に一任します」

「責任も、裁量も、すべて」


 空気が、変わった。


 誰も反論しない。

 できない。


 ベルモント侯爵は、口を閉ざしたまま、視線を落とした。


 私は、深く一礼する。


「承りました」


 それだけでよかった。


 ***


 会議後。


 廊下で、ヴァルテン侯爵が声をかけてきた。


「……完全に、主役だな」

「業務です」


「いや」


 侯爵は、静かに首を振る。


「これは、評価だ」

「君は――もう“補佐”ではない」


 私は、足を止めなかった。


 肩書きは、いらない。

 称賛も、いらない。


 ただ、自分の正しい感じた事を、誰にでもどんな場でも正直に伝える事ができる。

 そんな生き方をしていたい。

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