第63話:転機 北極星への通信――戦火の前の静寂
日常編が終わり、新章に入るので、少し雰囲気変えて行きます。
地球の裏側、A国とB国の国境地帯。
そこは、数え切れないほどの戦車と重砲が睨み合う「死の最前線」でした。
「……あと、30分です」
冷たく、無機質な声が司令部に響きます。
A国の外交特使、エドワード・ノートンは、デスクに置かれた一枚の紙を凝視していました。
そこにあるのは、世界を地獄に変えるための「宣戦布告書」。
彼がこれにサインをすれば、数時間後には核の火蓋が切られ、人類の歴史は幕を閉じます。
「エドワード様、早く! 弱腰な態度は国家への反逆ですぞ!」
背後に控える軍の高官たちが、死神のような顔でサインを急かします。
エドワードの指先は、ガタガタと震えていました。
知恵は尽き、交渉のカードは全て奪われ、彼は正真正銘の「詰み」を迎えていました。
(先生……私は、あなたの教えを何一つ守れなかった……)
エドワードの脳裏に浮かぶのは、数年前に死んだとされる恩師、**花村咲子**の面影でした。
最近、日本のネット界を騒がせているVTuber、咲良。
彼女の卓越した知略、人心を掌握する語り口に、彼は咲子の面影を強く感じていた。
しかし、対外的には死んだとされる存在。
「もし赤の他人だったら」という恐怖に足がすくみ、彼はこれまで連絡を躊躇し続けてきました。
ですが、もう限界でした。
「……少し、一人にしてくれ」
彼は最後の抵抗として、引き出しの奥底に隠していた「古い通信機」を取り出しました。
それは十年ほど前、咲子が急に現れ、「知恵が尽きたら使いなさい」と彼に託した、世界に二つしかない秘密の周波数を持つデバイス。
「先生……もし生きているなら、この愚かな私を、この壊れゆく世界を、笑ってください……!」
エリート外交官のプライドをかなぐり捨て、彼は藁をも掴む思いで、反応のないボタンを叩き続けました。
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