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5.初めての歌枠

麻雀配信で登録者数1000人を突破した後、咲良ちゃんは初めての「歌枠」配信を行った。


画面にはキラキラとしたライブステージ風の背景が映し出され、いつもの可愛らしいアバターがマイクを握っている。


「今日は初めての歌枠です。リクエストも受け付けますので、どんどんコメントしてくださいね」

視聴者コメント(視聴者数:2000人):

「歌までいけるんかw」

「麻雀しながらしゃべりが止まらない18歳と聞いて」

「おめ!」


最初の曲は、今流行りのVTuberソング。歌声は透き通るようなハイトーンで、リズム感も完璧だった。 視聴者は「歌うま!」「プロじゃん」と大盛り上がり。


「次は...っと。『YOASOB〇さんのアイドル』ですね。

今の若者は本当に多才な方が多いわ。ええと、この曲も覚えさせていただきました」


視聴者コメント:

「若者って誰目線やww」


咲子は最新ヒットチャートを次々と歌いこなした。その流暢な歌い方と、現代の音楽への知識の深さに、視聴者も納得。



視聴者コメント:

「やっぱり選曲は18歳なんだな」

「歌の趣味が最新すぎる」


しかし、ここで視聴者から意表を突くリクエストが飛んだ。


「咲良ちゃん、『Lemon』(米〇玄師)お願いします!」


「あら、素敵な曲ですね。ええ、歌います」


咲子が歌い始めると、声の響きが一変した。 若い声質は保ちつつも、表現力に圧倒的な深みと感情の揺らぎが加わる。


歌い出しの「夢ならばどれほどよかったでしょう」というフレーズだけで、歌詞の持つ「諦め」と「美しさ」が伝わってくる。


視聴者コメント:

「え、鳥肌立った」

「感情表現スゴい、歌い方が深すぎる…」

「これ、ただの『歌ってみた』じゃない。人生経験が乗ってる」


さらにリクエストは遡る。

「『津軽海峡・冬景色』(石〇さゆり)をお願いします!演歌もいける?」


このコメントに、咲子はにっこりと微笑んだ。

「演歌ですか。ええ、私も大好きですよ。では、心を込めて歌わせていただきます」


イントロが流れると、咲子は深く息を吸い込んだ。

「上野発の、夜行列車おりた時から...」


その声は、それまでのポップスやロックの歌声とは完全に別物だった。

若々しい声の奥に、人生の苦難を乗り越えてきた者だけが持つ、重厚な響きが宿っている。


こぶしは自然で、溜めやビブラートといった技術が、完全にプロの演歌歌手のそれだった。


「あぁ、演歌はこれだ。」

「この歌い方、完全に昭和の歌姫じゃん」

「こぶしの回し方、90代の祖母と同じなんだが」

「これはもう18歳じゃなくて、演歌歌手歴50年の方ですよ」

「感情の込め方が異次元。人生の荷物を背負ってる」


歌い終わった後、コメント欄は「すごすぎる」「感動した」「泣いた」という言葉で埋め尽くされた。


咲子は頬をかきながら、いつもの調子でごまかす。

「ふふ、お祖母ちゃんが演歌好きでね。いつも聴かされてたから、つい熱が入っちゃったみたい」


続いて、再び現代の曲に戻るかと思いきや、彼女の口から出たのはさらに古い曲だった。


「『夜霧よ今夜もありがとう』(石〇裕次郎)を歌います。

この曲、本当にロマンチックで好きなのよ」


渋すぎる選曲と、完璧なムードの再現に視聴者はただただ驚愕する。


「選曲の幅どうなってんの? 最新曲からムード歌謡まで?」

「さっきまで米津〇師だった人が、次は裕次郎って。間が50年以上あるぞ」

「記憶力だけじゃなくて、歌唱スキルまで超人的かよ」


さらに、誰もリクエストしていない、戦後の流行歌をふと思い出したように口ずさむ一幕もあった。 「ああ、懐かしいわね...『青い山脈』なんて、最近の子は知らないかしら」


「『最近の子は知らないかしら』って、どの立場の発言だよww」

「演歌→ムード歌謡→戦後歌謡。タイムラインがヤバい」


その幅広い選曲と、歌唱ジャンルごとに完璧に使い分ける歌声、そしてふとした瞬間に漏れる古い時代の知識が、咲良ちゃんの「18歳じゃない疑惑」を決定的なものにした。


しかし、その圧倒的な歌の魅力の前では、誰もが年齢のことは忘れ、ただ聞き入ってしまうのだった。


「咲良ちゃんの歌声が聞けるだけで幸せ」

「もうなんでもいい。この配信は伝説」

「麻雀といい歌といい、底が知れない」

「明日も来ます!演歌リクエストする!」


咲良ちゃんの歌枠は、VTuber界の新たな伝説として語り継がれていくことになった。

実際には音源の許可があるのでリクエストなんてできませんが、フィクションとして見てくださいね

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