51.忠義の奉公人、ルンバ三郎――おばあちゃん、最新家電を調教する
刑務所慰問という重厚な「魂の外交」を終えた咲良でしたが、佐藤家の日常に戻ると、そこには新たな「未知との遭遇」が待っていました。
佐藤代表が導入した最新のお掃除ロボットです。
今夜の配信は、和室の隅で充電されている円盤状の物体を映し出すところから始まりました。
「皆様、ご紹介いたしますわ。佐藤家に新しく加わった奉公人、『ルンバ三郎』ですの。……あら、三郎。皆様にご挨拶なさいな」
もちろん、ロボットが答えるはずもありませんが、咲良は満足げに頷きました。
「三郎は、少々人見知りなところがありまして。でも、わたくしが『出陣』の合図を出せば、それは見事な働きを見せますわ」
咲良がスマホのアプリを操作すると、電子音と共にルンバが動き出しました。
「さあ、三郎! 敵は本能寺にありですわ! 掃討なさい!」
勢いよく走り出したルンバでしたが、すぐに部屋の隅にある生け花の台座に激突し、「ガコン!」と大きな音を立てて停止、方向転換しました。
視聴者コメント
コメント:「出陣www」
コメント:「三郎、いきなり壁にぶつかってて草」
コメント:「咲良ちゃん、それただの自動掃除機だよww」
「……およしなさい、三郎。そこは伏兵の潜む場所ですわ。左翼から回り込むのです。……そう、よろしい。賢い子ですわね」
咲良はルンバの動きを「高度な戦術的機動」だと解釈し、逐一指示を出し始めました。
中盤、ルンバが座布団の段差に乗り上げ、車輪を空転させて異音を発し始めました。
「……! 三郎、どうしましたの? ……皆様、お聞きなさい。三郎が警告を発していますわ。この座布団の下……湿気が溜まっているか、あるいは不吉な暗雲が立ち込めているようですわね」
視聴者コメント
コメント:「ただ段差に引っかかってるだけだろwww」
コメント:「ルンバで占いするなww」
コメント:「湿気センサーは搭載されてませんww」
「三郎、無理をしてはいけませんわ。撤退もまた勇気です。……あら? 三郎、どこへ行くのです?
……ああっ! そちらは縁側ですわ! 落ちたら最後、野垂れ死にですわよ!」
落下防止センサーで止まったルンバに対し、咲良は「よくぞ踏みとどまりました! 勇敢な偵察兵ですわ!」と大絶賛。
リスナーは腹を抱えて笑い転げました。
配信の終盤、咲良は「三郎にも、櫻守としての誇りを持たせてあげたい」と、ある物を取り出しました。それは、あの伝説のキャンプで使った**「ひょっとこの面」**でした。
「三郎、これを被れば、あなたも立派な櫻守の一員ですわ」
ルンバの天板に、絶妙なバランスでひょっとこの面を固定。
再び起動した三郎は、**「ひょっとこの顔が床を這いずり回り、激突するたびにひょっとこが揺れる」**という、怪奇現象そのもののビジュアルで部屋を徘徊し始めました。
視聴者コメント
コメント:「地獄絵図wwwww」
コメント:「夜中にこれ見たら心臓止まるわww」
コメント:「ひょっとこルンバ、怖すぎるんだがww」
コメント:「三郎、尊厳破壊されてるぞww」
「ふふ、皆様、ご覧なさい。ひょっとこ三郎が通った後は、邪気が払われ(ホコリが吸われ)、清らかな風が吹いておりますわ。
……あら、三郎。わたくしの足首を執拗に攻めるのはおよしなさいな。求愛にはまだ早くてよ?」
次回は掲示板回、その次は咲子の恋愛、亡き夫への思いが明らかになります。
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