23.初めての企業案件!誠実が招く爆速完売
咲良の元に届いた最新PC「アストロ・エクスプレス」。時価30万円を超える超高性能機に対し、咲良はいつもの穏やかな笑顔で、しかし鋭い観察眼を持ってカメラの前に立ちました。
「皆様、本日はこの『光る計算機』をご紹介しますが……その前に一つ、お約束して。『高いから良い』という思い込みは、今すぐ捨てなさい」
視聴者コメント
「いきなり案件全否定!?w」
「咲良ちゃんの目利きモード入った」
「アストロ社の担当者、冷や汗かいてそう」
欠点を隠さない「誠実な商い」
咲良はPCの蓋を開け、中の構造を見せながら語り始めます。
「このPC、確かに演算能力は天下一品です。けれど、皆様に知っておいてほしい『影』の部分もあるの。まず、この大きさ。かつての大きな箪笥のように場所を取りますし、全力で動かせば、冬の火鉢のように熱を出し、その排熱音は少し騒がしいわ」
咲良はスペック表の数値を指差しました。
「それに、この30万円という価格。趣味として楽しむには十分すぎる贅沢品です。もし、あなたが『なんとなく流行っているから』という理由だけでこのPCを買おうとしているなら、私はお勧めしません。道具に振り回されるのは、人生の浪費よ」
視聴者への問いかけと「適正」の提示
チャット欄が「正直すぎる」「信頼できる」という言葉で埋まる中、咲良は続けます。
「でもね。あなたがもし、このPCを使って『新しい自分を描きたい』『仲間と最高の景色を見たい』と本気で願うなら、話は別。この価格は、あなたがこれから得る**数千時間の感動と、未来の可能性に対する『入場料』**になるわ。
スペックが足りなくて動きが止まる(カクつく)のは、思考を遮断されることと同じ。芸術家が質の悪い筆で絵を描かないように、あなたという才能を活かすための投資だと思えるなら、これ以上の相棒はいないでしょうね」
咲良は、自分に合っているかどうかを判断するための「咲良流・診断」を提示しました。
「動画編集や最新のゲームを毎日楽しむ方は、迷わず進みなさい。でも、お手紙を書いたり、私の配信を観るだけなら、もっと安くて静かな、身の丈に合ったPCが他にあるわ。自分の生活に『何が必要か』を見極めること。それが知恵ある者の買い物の作法です」
信頼が呼んだ「爆速完売」
「……さて。自分の心と相談はできましたか? 覚悟が決まった方だけ、このボタンを押しなさい」
咲良がクーポンコードを提示した瞬間、信じられないことが起きました。
デメリットを明確に伝えたことで、逆に視聴者の「信頼」が最高潮に達し、迷っていた層が一気に購入に踏み切ったのです。
販売サイトのカウンターが猛烈な勢いで回転し、**「1500台・完売」**の文字が出るまで、わずか2分弱。
「あら……。あんなに注意を促したのに、皆様、決断が早いのね。でも、今日これを選んだ方々は、きっと後悔しないはずよ。私が『嘘』を売っていないことを、そのPCが届いた時に知るでしょうから」
視聴者コメント
「デメリット聞いた上で納得して買った。後悔はない」
「ただ褒めるだけの案件より、100倍刺さった」
「咲良ちゃんの『嘘を売らない』って言葉、痺れる」
「売り切れるの早すぎ! 悩んでる暇なかったw」
配信終了後
アストロ・テックの担当者は、当初「欠点を言わないでほしい」と願っていましたが、結果として過去最高の売上と、ブランドへの圧倒的な信頼を勝ち取ったことに震えていました。
咲良は、自分のPCの電源を落とし、暗くなった画面に映る自分の顔を見つめます。
「物を売るということは、相手の人生に責任を持つということ。99年生きてきて、商売の極意は結局『誠実』に尽きるわね」
世界一のVTuberへの道は、企業さえも教育してしまう、彼女の圧倒的な人間力によって確固たるものになっていきました。




