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後編 5 血塗られた喧噪
オレが海から上がると辺りがワサワサしていた。
「お種付けの最中に大木様が亡くなられた!!」
「“供物”になった富江の腹の上でおっ死んだ!!」
「もうご高齢だったからなあ~」
「この不始末から逃げようとして富江のオヤジは船ごと沈められた!」
「跡継ぎの居ねえ大木の家はどうなるんだ?!この島は??!!」
「そんな事より今は逃げた富江をとっ捕まえねえと!!オレ達の身が危ねえ!!」
後日、『絶海の孤島の惨劇!!村人同士の殺し合い』として全国紙の一面を飾った『せりあがり祭』に纏わる血生臭くも悲惨な騒ぎの中、オレは夢遊病者の様に島を彷徨い歩いていた。




