ありがとうというと死にます、でも伝えます
シリーズ[現実へ出戻り]第一弾です、7000字ぐらいで読み終えます、誤差脱字があれば報告下さい。
セリーヌはもう自分がこの世からいなくなろうが
、どうでもよかった、ただ、目の前の恋人レオナルドに感謝を伝えたい、その一歩を踏み出した時、それは起こった。
セリーヌは、ある条件を交わし、この世界に転生した。
何故、転生したかと言うと、失恋である、そしてそれには理由があった。
転生前もセリーヌはレオナルドと恋人関係にあった、ちなみにこの世界でのセリーヌの人間関係は役職や地位などが違うだけで関係性は中世ナイズにマイナーチェンジしてるが、キーポイントは同じである。
転生前、レオナルドと破局した後、噂で人生をやり直させてくれると言う、転生屋と言う胡散臭い人間がいると言う事はセリーヌは知っていた、そこをネットで調べ、インチキだとは思いつつ、転生屋を訪れた、それが、レオナルドに対する執着を物語っていた。
その転生屋は背が高く飄々とした男だった、緊張と疑念を持ちながらも藁にも縋る気持ちで、セリーヌがいきさつをしゃべると、男は言った「そりゃあなた相手に感謝の気持ちを伝えないからだよ」と言った。
ハッとつまされたセリーヌは、そう言えば、レオナルドにありがとうなんて、一言も言ってない事に気づいた。
そしてその理由は心当たりがあった。
まず一つの理由はセリーヌ自身の生い立ちて、幼少の頃は普通に有り難うが言える子供だった、だが、その子供の頃、セリーヌが、大切にしていたカードゲームを公園落とした時、泣きながら探すセリーヌに「お嬢ちゃんの落としたカードはこれかい」と中年の男が声を掛けてきた、「ありがとう」とセリーヌは喜びながら言うと、男は「これは、レアはカードなんだ、それを拾った訳だから、おじさんに謝礼をくれるの分かるよな、落とし物を交番に届けたら10分の1謝礼をくれるれるのは常識だぜ」その時知ったのだがそのカードは大金が動く、レアカードだった、レアカードという事さえ知らないセリーヌは男が口にした要求金額を聞いて、顔が真っ青になった。
そして、男を家に連れてい行き、なんとか母親が、値段を負けて貰って払いその場を凌げたが、金を貰った時なの男の欲にまみれた顔と、その後母親にこっ酷く叱られたのがトラウマになって、ありがとう及び人に感謝を伝えることばが言えなくなったのと、そのありがとうの言葉レオナルドだがありがとうを非常に軽いノリでチャラく軽く使うのが、セリーヌにとって不快であった。
男はセリーヌを見るとニヤリとして話始めた「彼とやり直すチャンスが異世界転生でできますよ」
「でもどうやって」セリーヌが疑念を込めながら言う。
これを見てくださいと男は大きな輪っかの中を指挿した
。
そこには中世の西洋の街並みが、広がっていた。
不思議な顔で見ているセリーヌに男は言う「この世界に転生させてあげます、別れる直前の二人の関係性の状態でいきます、そして転生した後、彼に感謝を示して下さい」
もしやり直す事が、できるなら、難しくても、背に腹は変えられない、感謝の言葉を伝えようセリーヌは、そう思ってレオナルドと別れたくないとここまで、思ってるのかと再確認して「はい、いつもありがとうと感謝を伝えます」
「ですが、条件が有ります、言葉でありがとうなど感謝を伝えてはいけません」
「言葉で伝えてはいけないって、どう言う事ですかセリーヌは狼狽えて言う。
「言葉以外の方法で伝えるのです」
「言葉以外って…」
「それと一月以内に伝え頼りを戻して下さい、そうすれば、現実の世界でも、別れる前に戻れます、異世界でやり直す事ができたのなら、彼の考えてる事は同じですから、やり直せるはずです、後、感謝を言葉で使うのと、一月以内よりを戻せなかった場合、現実でも異世界でも、あなたの存在はこの世から消えます」
「消えるって、死ぬって事、それじゃあ現実世界で、よりを戻そうとした方がいいじゃない」唐突な話にセリーヌは焦りながら話す。
「それが出来ないと思ってるから、ここへ来たのでしょう」
セリーヌはグゥの根も出なかった、レオナルドとやり直そうと試みたが、それが不可能だとはっきりとレオナルドの態度や言動わかっていたから、怪しいと思い、何かとんでもない事をされるのではとも思いつつもこの場所を訪れたのだ。
「分かりましました、転生させて下さい」意を決してセリーヌは言う、それが、レオナルドに対する執着の強さをセリーヌ自身にさらに認識させた。
「では、命をかけて貰いますので、お値段入りません、そして、転生して貰う世界では、私はあなたわ監視したいますので、何かあれば、声に出して、私を呼んでください、テレパシーでアドバイス出来るかもしれません、ちなみに彼に感謝が伝わったかどうかは私は心が読めるので、分かります、ちなみに普段は心を読んでませんが」
心を読めるとかどうでもよかった、もう後戻りはできないと思いながらセリーヌは輪っかの中に入っていった。
暫く、意識を失った後起きるとそこは、豪華な大理石作りの部屋の大きなベッドの上だった、転生後は、輪っかの外から見たままの中世風の世界だった、セリーヌは起き上がって壁にかけてあった鏡を見ると顔も洋風になり、自身は貴族令嬢という設定になっていた、外に出ると周りも西洋の顔をしている。
現世での人間関係が転生後にどうなっているかという事、セリーヌ自身を含め、周りの人達が、今までどんな話や行動をとって来たのが、ごく自然なセリーヌは把握していた。
レオナルドは王子であり、セリーヌとの仲は婚約者、という、親や、世間公認の仲だった。
そして今、まさに、これからレオナルドがセリーヌの自宅に、会いに来るその時だった。
心の整理も感謝を伝える妙案もないまま、せめておめかしだけでもしておこうと化粧をしながら、何か感謝を伝えら方法を探っていた、化粧の仕方は現世とは違うが、異世界で暮らしていた設定なので、上手には出来た。
身支度をし見る鏡で見ると、自分の姿に思わず見惚れた、現世でもセリーヌは美人だったが、より違った美しさになってる、この世界の作法や暮らし、社会情勢や知り合いの顔などは頭に入っているが、いざ自分の容姿はなぜか頭に入ってなかった。
そんな自分に見惚れたのも束の間、すぐに執事が、「レオナルド様が、おいでなされました」とセリーヌを呼びにきた。
緊張しながら、広い家を歩き、玄関の門を開け、レオナルドに会った。
レオナルドもまた、現世でもイケメンだったがここでも洋風のイケメンである、これはセリーヌも認知している。
レオナルドとはこの日デートで人気のない近くの高原を散歩しようと約束した、ちなみにこの日会った後、レオナルドは近隣諸国に外遊で、次会うのは、この世界にいられる最終日である貴族達のパーティしかない、連絡方法もなく、この日に感謝を伝えるしかなかった。
セリーヌはデートで、高原に着くまで、レオナルドが優しく話しかけてくれたが、はやく感謝を伝えないと死んでしまうと、上の空であった。
レオナルドが、「どうしたの返事がさっきからないし、何か考え込んで様子だけど」
元々、セリーヌがこういう気遣いにも感謝を言えないのはこの世界でも同じ事だが、今回は本当に言えない、しかし今の言葉に感謝を返すのがいい機会であるそこで「ねえ、今の言葉への返し、これでわかって」ジェスチャーで、頭を下げる行動をとった、これがセリーヌが必死に考えた結果出たものだった。
レオナルドは「ありがとうと言いたいんだな」と言った。
セリーヌが伝わったと思った瞬間レオナルドが「なんでそんな回りくどい事をするの、言葉ありがとうって伝えれば、いいでしょ、君はいつもそう、全然ありがとうを俺に言わない、ちゃんとそういう事は伝えた方がいいよ、基本でしょ」
こっちは言いたくてでも言えないんだよ、人の気も知らずにセリーヌは頭に来て「あんたみたいに軽く感謝を伝えると感謝も軽くなるのがわからないの感謝の安売りしてるみたい、あなたに感謝されても信じられない、説得力がないのよ、それにいつも何か私に贈り物をする時も自分で作ってるけど、下手くそなのよ、ちゃんとした商品に頂戴よ」と不満をぶちまげた。
「君は僕をそんな風に思ってたのか、君と一緒にいたくない、心がきちんと通わない君とこれから上手くやってく自信もなくなった、婚約も考えさせてらう」怒気を強めていって、その場から立ち去るレオナルドにしまったと思いながら、現世でも同じ様な事を言われて別れたことを思い出し、それがレオナルドの心がこの世界でも離れた証だとセリーヌは思った。
レオナルドと別れた後、セリーヌは矢も盾もたまらず、男に自分の部屋の周りに誰もいないことを確認して、呼び出した、何せ自分の命がかかってるから必死である。
セリーヌの脳内に男から返答があった、先程の事を話そとしたが、男は「いきさつは現世から見る事ができるので、わかったます」と答えた。
「じゃあ何いい方法考えて下さい」セリーヌは自分でも目がバキバキになるのが分かりながら言った
。
「その世界には感謝を伝える舞というのがあります
、それを次に会う晩餐会に披露したらいいんじゃないですか」
「何処にそんなものあるんですか」
「図書館に普通に置いてあるはずです」
「そんな事で本当に効果あるんですか」
「知りません」
「知りませんって」
「ですか、晩餐会は、ちょうどその世界に居られるタイムリミットの前です、感謝とついでに謝罪も含めて伝えてたらいかがでしょうか、まだ一ヶ月あります、練習して上手に踊れば伝わるかもしれませんよ」
、
翌日、宮廷の図書館で、セリーヌは舞の存在を調べた。
調べた結果、レオナルド家の一族に代々伝わる舞だと言うのがわかった。
これは、と思ったセリーヌだったが、舞の仕方が書物に書かれているのだが、それが長い1時間近くある、しかも動きも起伏に富んでいて複雑だ。
これを一ヶ月以内に覚えるの、セリーヌば絶望的な気持ちになったが、最早やるしか選択肢は残されていない、この世から消えてたくなかった。
セリーヌの自宅には、壁一面鏡が取り付けられてる踊りの稽古部屋がある、そこで、書物を片手に、稽古を始めてみたが、それは想像をさらに超えた難しさだった。
こんなの出来ない途方に暮れながら、セリーヌはどうでもいい気持ちになっていた、自分の部屋に帰り、もうこのまま帰るのを待とうと思ってると、レオナルドからの贈り物の数々が、目に入った。
自分で作ったものを贈り物にするのまで、現実世界と同じだなと、現実でも本当の商品の方がいいと思っていたセリーヌだったが、ふと気が付いた。
この異世界でも、レオナルドは自分で作ったものをプレゼントする、現実でもそう、宝物などいくらでもあるのに、現実世界のレオナルドも、それなりに以上に給料は貰っている、それなりの値段のプレゼントは渡す事ができたはずだ、それをせっかくくれたものだから貰っていたが上手にできてない上に、ケチってるだけではと思ってもいた、しかし、手作りの方が面倒だし手間もかかる、そう思いそれらのプレゼント一つ一つをよく見て見ると、木を使ったブローチや作り物などは、ほんの微かにうっすらと血を拭いた跡がいくつかあった。
セリーヌは今までレオナルドが不器用でもセリーヌの為に金じゃなく、必死で作っていたのだと理解した、そして、下手だという理由で、この世界でも、現実世界でもちゃんとプレゼントを見ていなかった自分を恥じた。
レオナルドはチャラく感謝を伝えるので気付かなかったが、本当はすごく不器用な奴なのだとセリーヌは思った、チャラく感謝を伝えるのも不器用さの故だろう、そう思うと、真摯な思いに気付けなくて申し訳ないと言う気持ちと共に、レオナルドに対する愛おしさが、 セリーヌの心から溢れ出してきた、こんなに人を愛おしいと思ったのは生まれて初めてだった。
完璧じゃなくてもいい、とにかく、ありがとうの気持ちをレオナルドに伝えるんだ、何回も稽古に挫折しそうになる気持ちをそれが、支えた、練習をするうちに、セリーヌの気持ちが、自分が生き伸びたいからレオナルドに感謝を伝えたい気持ちに変わっていっていた。
晩餐会の日、レオナルドの宮殿の広いパーティ会場には多く貴族たちが、煌びやかな衣装を纏い、集まっていた。
セリーヌが到着した時には、パーティはもう始まっていた、そして、会場の中央にいる、レオナルドを見つか、目があったが、レオナルドはすぐ視線をずらした。
話しは冒頭に戻る。
少し嫌われてると悲しい気持ちになったが、しかし、もうセリーヌの腹は据わっていた。
無視にも怯む事なく、一直線に他の来場者たち押し退けて、レオナルドの前に立った。
そのセリーヌの勢いと剣幕に、驚いた様子のレオナルドに、セリーヌは話しかけた「私のあなたへの想い感じてくれる」と言うと、咄嗟の事に動揺してるレオナルド目の前で、舞を踊り始めた、その時だった。
一般の銃声が聞こた何のことだかわからなかった、セリーヌにレオナルドは咄嗟に、覆い被さっていた。
「暴漢だ捕えろ」衛兵が叫ぶ」会場は大パニックになっていた。
見るとレオナルドが背中から血を流している、どうやらセリーヌを庇って、撃たれたようだ、背中からは血が流れていた。
救護班が急いで、レオナルドに向かうが、「急所は外れている、ちょっと待ってくれ」苦しそうにレオナルドは言う。
セリーヌは「血を流してるのに大丈夫な訳ないでしょ、早く治療を受けてお願いだから」
レオナルドは苦しそうな表情でニッと笑って「セリーヌをギュッと抱きしめた。
そして「君はうちの家に伝わる舞を披露しようとしてくれたんだね、ありがとう、凄く、凄くうれしいよ」
セリーヌは溢れる涙を止める事は出来ず、それ以上にレオナルドをきつく抱きしめた。
「私これ以上あなたに伝える事が出来ないの、だからこの抱きしめる強さでわかってくれる」
レオナルドは黙って力を振り絞る様にきつくセリーヌを抱きしめる。
その不器用だけど真っ直ぐな抱擁にセリーヌはたまらなくなって「私、やっぱり今からあなたに言う、言いたいの私の心からの言葉聞いて、あ…」言おうとすると。
レオナルドが「言わなくていいよ、分かるよ、君の気持ち、こんなに人の気持ちが分かるのは初めてだ、だから言わなくていい、君をこうして抱きしめて感じる事で、君の気持ちが嬉しい程よく伝わるよ」
「でも言わなきゃわかんない」
「言わなくても分かる事もあるよ、僕は心が読めないけど、君の心を感じる事が、今こうしてできているんだそれだけで生まれて良かったと思えるぐらい嬉しい、だから何があるかは知らないが、言わなくていいし言う必要もない」
セリーヌは止まらない涙を拭おうともせず更に強くレオナルドを抱きしめ、言葉で伝えない感謝を2人の抱擁で、お互いに感じ合っていた。
レオナルドの怪我は浅く、命には別状はなかった
。
犯人は捕まり、反体制派のテロリストでセリーヌかレオナルドどちらかの命を狙っていた。
見舞いの時、聞いたのだが、 セリーヌにくれたプレゼントのシミはやはり血だった、レオナルドは血をつけてしまい申し訳ないと言っていた。
謎の男により、異世界で感謝を伝えることに成功したと判断され、 セリーヌは今現実に戻っている、現実でレオナルドと別れる前で、今から会うところである。
セリーヌは異世界での経験によって、レオナルドの考え方を知った、もうセリーヌは、ありがとうと不器用でも心を込めて伝えようと思っていた、異世界でやってきた事に比べば、どうという事はない。
現実でも上手く行かせる、その心に一点の迷いもなかった、セリーヌは息を大きく吸い込むと玄関のドアを思い切りよく開けてレオナルドに会いに行った。
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