第7話 悪友の基準って何だろう②
「俺さ、地球って星を侵略しようと思ってる」
「は?」
俺は最初、パロが何を言っているのか理解できなかった。ただ、目を見ると冗談で言っていないことが分かった。まぁそもそも、声のトーンでなんとなく分かるが。
パロは頭が良い。俺は頭があまり良くはない。だからパロの言っていることが分からないことは意外とあった。ただ、今回は「分からない」の方向性が違う気がする。俺はパロの話を詳しく聞くことにした。
パロの惑星の住民は、俺の星の怪獣たちとは違ってよく宇宙へ遠出する。どこへ行ってるのかは知らなかった。パロによれば他の星を侵略しに行っているらしい。
その星の環境が良くて侵略に成功すれば、帰って来ない怪獣も多いんだそうだ。パロのお父さんもそうだったらしい。そのせいで、パロは寂しい思いをしてきたみたいだ。
俺はあんまりパロの家族について聞いた事は無かったけど、そんな事情があったとは。嫌味もそのストレスのはけ口だったのか、と勝手に一人で納得がいった。
パロのお父さんが侵略に失敗した可能性も考えたけど、あえてそれは言わなかった。俺の表情を読み取ったのか、パロはお父さんは絶対に死んでないことを教えてくれた。パロの種族はシンパシーが強く、身内が死んだときは離れていても分かるんだそうだ。まぁお父さんが元気なのは安心だ。
パロも最初はそんな父親を鬱陶しく思っていたが、最近考えが変わったらしい。家族を捨ててまで父がのめり込んだ侵略を、自分もしてみたくなったとパロは言った。
「母さんと話したんだけど、俺が侵略に行ったら母さんは父さんのところに行くって言ってた。久々に会いたいけど俺が卒業するまでは諦めてたらしい」
俺が心配してたこともどうやら平気だったようだ。なんならお互いwinwinっぽい。
パロによれば、生き物の凶暴度とか環境を計算した結果一番良かったのが地球らしい。まぁここに関してはパロに限って間違いはないだろう。
パロの動機を理解できたので、俺は応援することにした。侵略が何なのかよく分からなかったが、パロが夢中になれるものが見つかったなら嬉しい。
「じゃあパロ、俺もお前のこと応…」
「そ、それでさ!」
せっかくの応援メッセージを遮られた。てめぇ、覚悟は出来てんだろうな。そう思ってたらパロの口からとんでもない言葉が飛び出した。
「それで、お前にも付いてきてほしいと思って!」
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