第5話 たまには実家に帰ろう②
「おかえりー、まぁおっきくなってー」
家に帰ると見知らぬおばさ…おっと危ないお姉様がいた。一瞬誰か分からなかったが親戚だった。どうやらたまたま遊びに来ていたらしい。
「あんた帰ってくるなら言いなさいよー」
母親は文句を言っているが笑顔だった。いつもと変わらない。父親は仕事で夜にならないと帰って来ないらしい。夕方には帰る予定だったので残念だ。また今度会った時にでも話そう。
父親は頑固で不愛想だったのでよく話してはいなかったが、個人的にはその雰囲気が好きだった。もう俺も大人になったので、そのうち酒でも飲みながら語り合いたい。
自分の部屋に行くと、家を出た当時のまんまだった。勉強机に座ってみる。小さくて狭いが体になじむ感覚、結構こういうのってしんみりくるので皆も里帰りしたときは座ってみるといいぜ。
母親とよく分からん親戚と話して、時間はあっという間に過ぎ去った。もう帰ると伝えると母親は
「夜ご飯まだなんでしょ?まだいなさいよ」
とごねていたが、帰りの宇宙電車がよく事故るので早めに帰ることにした。
母親たちに別れを告げて家を出ると、ちょうど家に帰ってきた父親とすれ違った。なんか小さくなったなぁ。子どもの頃は巨獣に見えたのに。父親はただおかえり、とだけ言ったので俺もただいまと一言だけ返した。こういうのなんかカッコいいな。
帰りの電車で椅子に座り、離れていく故郷を見送った。いや、正確には見送られたか。自分の世界が広がっていくにつれ、自分が今までいた場所には帰らなくなる。当たり前のことだけど、たまにはその当たり前を崩すのも悪くはないなと思えた。
あ、でもあの幼馴染2人は許さない。結婚式呼ばなかったらぶっ飛ばす。
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