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第39話 名前ってのは誰かのオマージュ

 あの出会いからしばらくして、なぜかそいつは俺に懐くようになった。


 俺は葉っぱをちぎって、そいつに服として渡した。服の形にしたつもりだったんだが、普通に爪で裂けてしまったのが悔しい。そいつはどうにか体に合わせて身にまとっていた。


 ある日、ふと思った。名前を付けないとややこしいな、と。ずっとそいつ呼ばわりもなんか気持ち悪い。


 しかし人間に名前を付けたことはないからな、どうしようか。一応自分が人間だったころは田中を名乗っていたが、それも苗字だし淡白だな…


「…どうかしましたか?」


 俺の考えている様子に気づいたのか、男が声を掛けてきた。もう最初のようなビビり方はしないらしい。こんな化け物が横にいるのに、慣れってのは恐ろしいもんだ。


「ギュー」

「……」

「…ギュー」

「え?」

「ギュー!!」

「ごめんなさい!!」


 伝わるわけがなかった。というかそもそも名前も決めてないのに伝えようとしたって仕方がない。


 ひとまず俺の中での呼び名を決めておくか。そうだな…吾郎にしよう!


 え、さぼってるって?

 

 知ってるか?名前ってのは全部誰かのオマージュなんだぜ。


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