第33話 Vtuberとしての成功
「おはこんばんちは! 今日も元気に配信やってくよー!」
あれから2週間、俺は瞬く間にVtuberランキングを駆け上がった。トップランカーと肩を並べるとまでは行かないが、それでも名が知れ渡ってきた。
成功の要因は2つだ。1つはひぬ婆さんの完璧とも言える戦略。もう1つはそれについていこうとした俺の努力だ。
ひぬ婆さんのノートには事細かに今後の進め方が書かれていた。元々やろうとしていたので自身の強みも把握していたことは知っていたが、何よりも驚いたのは俺の強みも分析してくれていたことだ。ノートの最後に、ひぬから俺に対するメッセージが書かれていた。
『もし私に何かあったときは、このノートを読んでくれ。それでお前さんがやりたくなった暁には、ぶいちゅーばーデビューをしてくれると嬉しい』
その言葉通り、俺がVtuberをするときのアドバイスも丁寧に書かれていた。俺とひぬでは性別も年齢も違う。そのため、異なるアプローチ方法を場合分けして考えていたんだ。
「今日はこのゲーム攻略していくよー!」
俺はVtuberとして成功を収めていく中で、いつもひぬの面影を思い浮かべていた。もしかしたら天国にも届くかもな…怪獣だったころにはなかった天国の概念も、人間になって皆と出会ったから生まれたものだ。
「ありがとう…」
『何か言ったー?』
『ありがとうって言ってなかった?』
『誰にだろう』
チャットの反応にも気づかないほど、つい感謝を口にしてしまったこともある。俺は今日もパソコンを開き、ヘッドフォンを手に取る。
お読みいただきありがとうございます! ひぬにも届く想いへ...次回、怪獣インターン編完結!