第23話 怪獣の就活
仕事をすると決めたものの、やっぱり怪獣だった俺には人間の仕事がよく分からない。まずは何があるのか調べてみることにした。
人間になってよかった点としては、文字が読めることだ。これで求人の雑誌も人間の言葉で理解することができる。言葉の意味が分からないものについては吾郎やその知り合いの爺さんたちに聞きながら、俺はなんとか仕事への理解を深めていった。
「あの、ここに書いてあるエクセル?ってどういう意味ですか?」
「あぁ、それは孫の手の別の言い方じゃよ」
「バカ言え、それは食べ物じゃい」
こんな感じの事もあったが、俺はなんとか1つの仕事に可能性を見出すことができた。力仕事だ。
怪獣だったころから、腕っぷしには自信があった。きっとうまくいくだろう。さっそく応募してみると、思いのほかすぐに採用してくれた。人が足りなかったのかもしれないな。
「じゃあ今から移動するから」
中くらいのサイズの車で移動した先は、工事現場だった。俺はここで荷物の運搬や整理をするらしい。
「え…おっも!」
「何してんだ新人。そんなん軽い方だぞ?」
(終わった…)
荷物を持った瞬間、これは無理だと分かった。重すぎる。人間になったことで、もちまえの腕力は失われていたみたいだった。
いや、言い訳じゃない。これは事実だ。
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