第18話 そして俺は空を見上げた
ポエと別れた後も、俺は火を噴く練習を続けていた。最初は不格好だったけど、最近は上手くなってきたよ。
ただ、人ってのは(俺は怪獣だけど)少し出来てくると調子に乗るんだ。俺だってそうさ。昨日の夜、夜更かししてたら1つの考えがピピッ!!て脳によぎったんだ。
(火を地面に逆噴射したら飛べるんじゃね?)
はい、馬鹿です。バカなんだけど、馬鹿って気づくのは失敗した後なんだよなぁ。今朝、さっそく試してみたんだ。念のため、最初は弱い放出からやることにした。少し炎を出してみる。
ボオッ!
お、これは行けるかもしれん。もう少し出力を上げて出してみる。
ボオッ!!
少し体が浮いた!これはかなり脈ありかもしれん。今になって思うが、俺はこういうときにアホなんだ。3度目の正直って言葉が出てこなくなって2度あることは3度あるを信じてしまう。
俺は最後、全力で火を噴いた。
ボボボボボボボオオオオオオォォ!!!!!!!!
体が浮く。ここが勝負どころだ!俺は炎をさらに強めてスパートをかけた。
「あれ?」
綺麗な青空が見えた。おかしいな、俺は地面を向いていたはずだ。次の瞬間、頭にとても大きな衝撃が走る。
ゴチーン!!!
昼だっていうのに俺の頭には星がチカチカ舞っていた。そう、強すぎる火は俺の態勢を崩し、天空に向かって打ち上げられたのだ。その反動をもろに食らった俺は…死んだ。
比喩だよバカ、本当に死んでたまるか。くそー、夕方だってのにめっちゃいてぇ。もう火は吐きません。約束します。
大切なのは力を高める事じゃなくて、少し上がった力に慢心しないことなんだなって思ったよ。
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