18.ファラリスの雄牛メイデン!
「まずいですね。完全に囲まれました。」レオンは剣を構えながら言う。
「ああ。人が多い。これでは暴れられんな。」マグネスは歯痒そうに言う。
「私は足手纏いなので二人だけでも…」エレノアが申し訳なさそうに言う。
「それじゃあ僕たちが来た意味がないんですよ!」レオンが遮る。
「そうだ。私たちは護衛だからな。離れずついてくるんだぞ。」マグネスは剣を構えると腰を低く落とす。
「はい!」エレノアは震えながら返事をする。
3人の男たちがマグネスに襲いかかる。マグネスは器用に一人を剣の持ち手で突き気絶させる。もう一人を殴り飛ばす。その勢いで怯んだもう一人を投げ飛ばした。
レオンも一人の男と切り結びしばらく膠着したがマグネスの援護でことなきを得た。
「僕も足手纏いみたいなんで置いていってもいいですよ?」レオンは申し訳なさそうに言う。
「全く二人して…」マグネスが呆れる。
そうしているとさらに多くの敵が出てきた囲まれる。
「しまった!逃げ道が。」マグネスが焦る。
「どうすれば!」レオンは何か手はないかと辺りを見回す。エレノアは無言でレオンの服の裾をぎゅっと握った。
その瞬間、大きな音がして土煙があがると共に囲んでいた敵数人が吹っ飛ばされる。
「今度はなんだ?」マグネスは困惑する。
「おーい!助けに来たぞ!」遠くから竜太郎の声が聞こえた。そちらを見ると屋根の上から竜太郎とソフィーが手を振っている。
「よし、敵の包囲が崩れた!今だ。」マグネスはそう言うと素早く敵に突貫する。レオンもエレノアの手を引いてその後に続いた。
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「さあ、仲間はどこだ?言え。」私は石造りの部屋に真ん中にある椅子に縛られ尋問を受ける。
「早く言え。女を痛めつけるのは趣味じゃないんだ。」金髪の男は私に詰め寄る。
よくわからないが、この金髪イケメンはエレノアの命を狙う暗殺者だ。であれば情報を与えることはできない。
何をされても情報を吐くことはできない。
「吐かないなら痛い目に遭ってもらう。顔はやめてやるよ。」イケメンはそう言うとヒモで私を引っ叩き始める。何をやっているんだと思う。
ちなみに、イリーナはヒモだと思っているが、これはムチである。ムチなど所詮彼女の前では硬めのヒモなのだ。
「どうだ?言う気になったか?」イケメンは私に詰め寄る。
「何も?」私は平然と言う。紐でビシビシされたくらいで重要な情報を吐くと思っているのか?バカなのか?私は不思議に思った。
「どうやらよく訓練されているようだ。」イケメンはため息をつく。
「しょうがない。」そう言うと彼は針を持ってくる。
「吐かなければお前の爪と肉の間に針を…入らないな。」彼は曲がった針をみて困惑しつつペンチを取り出す。
「吐かなければ爪を一枚一枚剥ぐ。さあ答えろ。」彼はそう言うと私の爪を一枚挟む。
「何も言うことはないわ。」私はあっさりと突っぱねる。
「いいね。肝が座ってる。」彼はそう言うとペンチに力を込める。
彼は私の爪を剥がそうとするが剥がれない。当然だ。私は防御力が高すぎて爪を切るのも結構苦労するのだ。こんなことで剥がれてくれれば苦労はしない。
とはいえこの青年、爪を引っ張るため力んで紅潮していてもイケメンだ。やっぱりイケメンは違うなと思う。いや、別に私だって顔は良いほうだし?などと無意味な対抗意識を持ってみたりする。
「剥がれないな。頑丈みたいだな。ハァハァ…指を潰してやる。」彼はペンチで私の指をペンチで挟んで潰そうとする。
そして、ついに限界が来て潰れてしまった。ペンチが。
「ああくそ!手痛い!」彼はイライラしながら手をぶんぶんと振る。
「早く潰しなさいよ。潰せたら言ってあげるわよ?」
「くそ!煽ってきやがる!」彼は怒る。
その部屋からはしばらく痛々しい拷問の音が鳴り続けていた。
・・・・・・・・・
「くそっ!タフな奴だ!」イケメンは私の足の上に大量の石材を積みながら言う。
タフってレベルか?部屋にいた彼の側近は不思議に思った。
「ねえ、この石邪魔なんだけど?」私は機嫌悪そうに言う。
「なんで邪魔さが一番効果あるんだよ!」イケメンは怒鳴る。
「こうなったら電気魔術で感電させてやる。この魔導具をこことここに…ええい!石材が邪魔だ!どかせ!」イケメンは側近に命令する。自分で置いたんだろうが。
側近は明らかに不服そうな顔で石材をどかす。側近の腰に幸あれ。
そして私の身体に高圧の電流が走る。
「言う気になったか?」イケメンは尋ねる。
「ならないって。だから指潰せば言うって…」そう言いかけたところで私はペンチで顔を殴られる。顔はやめてくれるのでは?
「仕方ない。あれを使う。持ってこい。」イケメンは側近に目配せする。
「え〜、やめましょう?あれ本当後片付け大変なんで…」側近は嫌そうな顔をする。
「何言ってんだ?持ってこい。」
「ええ?じゃあ掃除手自分でやってくださいね?俺本当嫌ですから。」側近は首を振る。仲間割れか?
「いいよ。その代わり父上に言ってお前をあの中に入れる。」イケメンは冷たく言う。
「わかりましたよもう!面倒臭えな。」側近はぶつぶつ文句を言いながら部屋を出てしばらくしたら牛の像のようなものを持ってくる。
「これは最強の拷問器具。”ファラリスの雄牛メイデン”だ!」イケメンはそう言って牛の背中にある蓋を開ける。中には無数の棘がついている。
「この中にお前を入れて火で炙る。トゲと熱で二重の苦しみだ。どうだ?言う気になったか?」
「ならない。」私は即否定する。
「まあいい、じゃあここでしっかり反省してもらおう。」イケメンはそう言うと側近と二人で私をトゲトゲの内部に放り込む。
そのまま蓋をしっかり閉める。中はトゲトゲで非常に過ごしづらい。
「さあ、火をくべろ。」外で命令する声が微かに聞こえる。側近が文句を言いつつしばらくすると下の方がじわじわと熱くなり始める。
棘で貫かれながら焼かれる。これを考えたのは相当なサディストだろう。こんなもの作った奴がこの中に入ればいいのだ。
だが、この状況ではこの拷問を耐え切るしかないので。寝心地が悪く暑い。まるで熱帯夜のような不快さだ。
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「どうだ?まだ反応がないな。」イケメンが不審そうに言う。
「ですね。死んだんですかね?」側近が言う。
「かもしれないな。」イケメンは言う。
「あ〜掃除大変なんですよこれ。」側近はまた文句を言う。
「文句を言うな?たとえ情報が取れなくても、この女の無惨な死体を見せしめにする。この街に犯罪者は必要ない。それを示すのだ。」イケメンは真面目な顔で言う。
「立派ですねえ。」側近が言う。
「ああ。街の治安を維持する。そうして実績を残せば。親の七光でないと証明できれば、もしかしたらエレノア嬢も振り向いてくれるかもしれない。」イケメンは呟く。
その瞬間ファラリスの雄牛メイデンの中からモーモーと牛の鳴き声のような声が聞こえる。中で声を出すと牛の鳴き声のような音が鳴るようになっているのだ。
「苦しんでますね。」側近が言う。
「苦しんでるな。」イケメンは満足そうに言う。
「壁叩いてますね。」
「叩いてるな。」
「でも掃除大変なんですよね。」
「頑張れ。」
「…」
ゴォン!ゴォン!と中から音がする。
バァン!という音と共に牛の背中が割れて罪人の女が飛び出してくる。
「どうやって出たの?」側近は困惑する。
私は牛から頭を出すとイケメンに質問する。
「ねえ、今エレノアって言った?」私はイケメンを睨みながら質問する。
イケメンは不思議そうに首を傾げた。




