18.蘇生してもらってすぐダウンする気まずいやつ。
「誰か!誰か!」私はともかく路地から這い出ようと頑張る。
「お、お前何してんの?」聞き覚えのある声だ。この状況で一番会いたくない奴。そう。竜太郎だ。
「あ、助けて…」私は藁にもすがる思いで屈辱的な言葉を発する。
当然竜太郎は腹を抱えて笑う。その横でソフィーがなんとも言えない顔をしている。
「ずっとそうしてろ。」竜太郎は無慈悲に言い放って立ち去る。
「…」私が死んだ目をしていると竜太郎が戻ってくる。
「嘘嘘。冗談だよ。ちゃんと助けるって。俺の新しい剣でな!」そう言うと竜太郎は鏡のような新しい剣を振りかぶって大きく息を吸う。そして満面の笑みで剣を振り下ろした。
縄を切るというより処刑の勢いで斬りつけられた。縄は切れた。
「なんでこんなところで拘束プレイしてんだよ。」竜太郎は不思議そうに言う。
「プレイじゃない!一緒にするな!実はかくかくしかじかで…」私は説明する。
「それは大変だな!急いで援護に行かないとな。」
「そうね。」竜太郎とソフィーは頷きあう。
「じゃあ早く3人を探そう。」私が歩き出そうとしたその時
「いたぞ!武器調達班だ!」憲兵の一団が私たちを見つけて向かってくる。
「くそ!どうすれば!」竜太郎は面倒くさそうな顔をする。
「リュウ、どうする?」ソフィーも困っている。
私は今の状況から最善策を考える。戦力の配分や敵の配置。その他諸々の情報を瞬時に処理し結論を出す。
「二人はエレノアたちをお願い!ここは私が食い止める!」私は憲兵たちと対峙する。
「おっ、おう。悪いな。」竜太郎はそう言うとソフィーの手を引いて大通りへ出ていった。
「じゃあ、今度こそバッチリ時間稼ぐわよ!」私はそう決意する。そのまま私はボコボコにされそれでも倒れないのでまた取り押さえられ縛られ放置された。
「うん。知ってた。」私は芋虫のようにのたうち回った。今度は柱に縛り付けられて動こうにも動けないのでそのうち私は考えるのをやめた。
はっ!寝ていた。こんな味方の危機に寝ているなんてよくない。だが、味方を逃すために2回も囮になったのでちょっと寝るくらいの権利はあるはずだ。
だが、エレノアたちは大丈夫だろうか。心配になる。とは言え縛られた私はどうすることもできない。ただ祈るだけしか。
足音がする。そちらを振り向くと金髪碧眼で整った顔立ちの青年がこちらを見ていた。
「あっ!助けて!変な人たちに襲われて…」私が助けを求めた瞬間。
「死ね逆賊!」青年は私の首に剣を振り下ろした。




