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17.魔女の野望(粉砕確定)

 「魔物多すぎない?ちょっと休憩。」竜太郎は私を頭から地面に突き刺す。私はスコップか!

「魔物多すぎない?なあ?」

「確かに、ダンジョン並みにいたわね。後さ、せめて突き刺すなら足の方を突き刺してよ。」私は地中で文句を言う。

竜太郎は私の切実な訴えを無視しつつストレッチをする。

「それにしても、村がある方に行くならもっと近道すればいいよね?」私は尋ねる。

「は?別に村には向かってないよ。」竜太郎は何を今更という顔をする。

「え?じゃあどこに?」私は尋ねる。

「え?じゃないだろ。走り回って剣探してるんだが?」竜太郎は当然のような顔をする。

「え?は?」私から怒りの波動を感じた竜太郎は急いで私を地面から引き抜く。

「さあ!行こう行こう!」彼は逃げるように私が暴れる前に私を担いで走り出した。彼は剣を探すために魔物のテリトリーの奥深くへ進んで行く。



「どけどけ!」竜太郎は鈍器を振り回しながら群がってくる魔物を薙ぎ払う。

イリーナとしてはこの場で硬化を解いて武器を辞めたいところだったのだが、攻撃ができなくなると魔物に群がられて動けなくなるので大人しく武器になるしかないのだ。

「さあ、俺の剣はどこだ?」竜太郎は辺りを見回しながら言う。

「っていうか、なんで魔物を虐殺して回ってるの?剣を探したいなら滑落したルートを探索すればいいのに。」私は文句を言う。

「いや、あの剣は俺の相棒なんだ。この辺から気配がするんだ。」竜太郎は周囲を見渡しながら言う。

「あぁ…そういう感じなんだ。よくわかんない。」剣士のことはよくわからない。前のパーティーの剣士たちは剣を消耗品と扱っていたので少し違和感がある。


・・・・・・・・・・


「ほう?良い剣だ。どこで拾った?」魔女は配下の魔物が持ってきた剣を見て尋ねる。

魔物は唸る。

「そうか。落ちていたのか。」魔女は微笑みながら剣を手に取る。

「ふむ。これはすごい。魔力の塊だ。これならあれの炉心にすることができる。」魔女は嬉しそうに言う。

この魔女は大昔からこの山に住み着いてきた。そして彼女はある野望を成就させるべく研究に励んでいた。魔物たちを使役していたのはあくまでその一環である。ここ数年は魔物たちを使って周囲の村を襲撃し霊脈確保のためテリトリーの拡大に励んでいた。

ここにきて彼女の計画は最終段階に差し掛かっている。周囲にある霊脈をできるだけ多く確保する必要があった。

二年前、村から派遣された討伐部隊が来た。当然返り討ちにした。その上に良質な上級冒険者の装備や肉体は素晴らしい素材になった。

魔女はまだまだ霊脈を獲得するつもりだったが、この大量の魔力が宿った剣を手に入れたことでその必要はなくなった。

彼女はその剣を持ち洞窟の奥に入っていった。洞窟の奥には大きな空間がある。底が見えるくらい透き通った湖ができており中央には神殿のようなものがある。

彼女は神殿に続く魔力で作られた足場を通り神殿の中に入る。

「さあ。時が来たわ。」彼女はそう言うと剣を神殿の穴に投げ入れた。途端に洞窟に満ちた水が引いていく。厳密に言うと剣を投げ入れた穴が水を吸っているのだ。穴がすべての水を吸い終わる。穴の奥から強い光が漏れる。

魔女はそれを見ながらニヤリとした。



・・・・・・・・・・



「このへんにあるはずなんだが…」竜太郎はあたりを見回す。

「なくったんじゃないの?」

「んなわけねえだろ!」

「あの剣は壊れないようにできてるんだよ。このへんにあるはずなんだ!」竜太郎は地面を叩く。その瞬間彼は思い出す。ゴブリンの拠点を見つけるため必殺技を無駄撃ちした事件をだ。

「なるほど!下だ!」

「下って?」私が質問する前に彼は再び地面に私を突き刺すと技を出す。

「必殺、大穿孔出雲石見銀斬(シルバーAPバレット)!」膨大な魔力を一点に凝縮し繰り出す刺突は岩山すらも抜く。

山の岩盤に大きな穴が開く。

「この下にあるはずだ!」

「へえ、じゃああとは一人で…」

「飛び込むぞ!」竜太郎は私共々穴に飛び込んだ。

「いやああああ!」悲鳴をあげるがどうにもならない。私たちは穴の奥深くへ落ちていった。

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