17.討伐開始(戦果確認)
「なんか大きい音鳴りましたね。」ソフィーが言う。
「あの音は…土砂崩れだ。」マグネスはドヤ顔で言う。
「うわぁ怖い。」レオンは呟いた。
「早く目的地に行きましょう。」ソフィーが道の先を指さす。
「そうだな。イリーナたちもういたりしてな。」マグネスは面白そうに言う。
「そうですね!先を急ぎましょう!」レオンは地図を見ながらまた歩き出した。
「ねえ!いつまで私のこと持ってる気よ!」私は担がれながら文句を言う。
「うるせえ!魔物とかが出たらどうするんだ?それに夜も近いからな。スタミナ0のお前と並走してたら野宿確定だろうが!運んだ方が早い!」竜太郎は面倒臭そうに言う。
「あ〜、納得。じゃあ私は寝てるね。」
「寝るなよ!てか寝れんの?」竜太郎は驚く。寝るよりも道案内とかをして欲しかったのだが。
走っているとだんだん暗くなってきた。このままではまずい。そう思った時、山の中腹に光が見えた。もしかすると依頼をしてきた村ではないかと竜太郎は考えた。そうと決まれば…
「おい!あそこに光ってる何かがある。人がいるかもしれないからあそこに…」竜太郎はイリーナが眠ってただの鈍器になっていることに気づいたのでバカらしくなってそれ以上言うのをやめ黙って走り出した。
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「えっと…村に着きましたけど。もう夕方ですけど。どうします?」レオンが言う。
「この状況で納税してくださ〜い。なんて言ったら夜の山で野宿一直線でしょ?」ソフィーも嫌そうに言う。
「民は納税したがらないものだ。」マグネスは懐かしそうに言う。
「ですけど、この時間に村人を敵に回すのはちょっとね…」レオンはため息をつく。
「追い出されたら最悪ですもんね。」ソフィーは頷く。
「え?ソロキャーンができるぞ?」マグネスを無視して二人は村に向かっていった。
「なんて言います?」ソフィーが考え込む。
「何でも屋です、お悩み解決しますよ。とか言えばいいですかね?」レオンは提案する。
「なんかもっと胡散臭くなってません?」
「おい、二人とも。囲まれてるぞ。」マグネスが何かに勘付いて警告する。
レオンとソフィーは急いで周囲を警戒する。
すると、周りの木々の影から武装した人間たちが出てきた。
「やあ。」マグネスはフランクな挨拶をした。
「誰だ?お前たちは。」リーダーのような男が尋ねてくる。
「どうします?なんて名乗ります?」3人は小声で議論する。
「納税しろなんていったら集団リンチ確定ですよ?殺しにきてますよ?」
「大丈夫大丈夫。私が吹き飛ばす。」
「吹き飛ばさないでくださいね?一応エレノアさんの領民ですからね?」レオンが止める。
「じゃあなんて言うの?殺気がすごいんだけど?」ソフィーが焦る。
「ここは僕が交渉します。リーダーなので。」レオンは頼もしく頷くと武装集団のリーダーの目を合わせた。
「お、おち、おちついて…納税…何でも屋…」
「お前が落ち着け。」武装集団のリーダーは困惑した。
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「なんだ。俺たちと取引をしたいのか。最初からそう言えよ。役人だと思ってぶっ殺すところだったぜ。」リーダーの男が豪快に笑う。
「「ははは…」」ソフィーとレオンもぎこちなく笑う。
「それで、何かお困りごとはありませんか?」レオンは気を取り直して尋ねる。
「困りごとか?大有りだよ。」リーダーは悲しそうに言う。
「最近この近くで魔物どもの活動が活発でな。たびたび村にも徒党を組んでやってくる。この村は元々三つの村だったんだが、魔物に対抗するため協力してここに村を作った。全員で武装してなんとか魔物の脅威に備えている。」リーダーは淡々と語る。
「そして、その魔物たちを生み出している親玉がいる。そいつを倒さなきゃならない。」別の村人が言う。
「領主には伝えたのですか?」ソフィーが尋ねる。
「それを領主にも伝えたさ。それなのに、救援要請は徹底的に無視して税金を払えの一点張りだ。」もう一人のメンバーが憤る。
ホプキンス家…と思ったがそんなことを言っても仕方ない。
レオンは意を決する。
「身分を偽って申し訳ありません。我々はホプキンス家のエレノアお嬢様より遣わされた救援部隊です。我々全員獣狩りのプロフェッショナルです。お待たせして申し訳ない。ですがもう安心です。これ以降のことはお任せください。」レオンは自信満々に言った。
村人たちはざわつく。
マグネスとソフィーは、自分は獣狩りのプロではないんだけどな…と考えた。
・・・・・・
「なあ、信用していいのか?」村人がリーダーにささやく。
「領主の仲間は信用できねえ。だが、今の俺たちは藁にも縋るしかねえんだよ。それに…エレノアとかいうお嬢様がもしかしたら…な。」リーダーは考え込みながら言う。
「お嬢様は俺たちの味方ってことか?」
「ああ。俺たちは領主に何度も裏切られてきた。だが、最後の一回。信じてみてもいいんじゃねえか?」リーダーは言う。
「あんたがそう言うなら俺も最後の一回に賭けるよ。」村人は笑顔で頷いた。
そして、レオンが魔物の親玉討伐の計画を立てようと村人を呼び出し話し始めたその時、ドォンという爆音と共に空気がビリビリと振動する。
「何が起こっているんだ?」村人たちは動揺する。
「そうだ。さっきも大きい音がした!」
「親玉が動き出したか?」村人たちは右往左往し始める。
だが、レオンたち3人はなんとなく状況を察した。途端に作戦会議面倒臭くなった。
「僕たち3人で倒してくるので待っててくださいね。」レオンはてきとうに言う。
村人たちはざわつく。
「待て!親玉はとんでもなく強い。3人だけだと命を散らすことになる!」
「そうだ!上級冒険者のパーティーが全滅したこともある!」村人たちは口々に止める。
「あっ、大丈夫です。いってきますね。」レオンは素っ気なく返事をしてマグネスとソフィーを引きずっていった。
「そうだ、道案内できる人います?」外に出たらもう暗かったので、レオンは戻ってきて村人たちに呼びかける。
するとリーダーが立ち上がる。
「俺が行く。この山で生まれ育ったんだ。完璧に案内してやるさ。」リーダーは強気に笑う。
「危険だリーダー!あんたが死んだら俺たちは戦えない!」
「そうだ!道案内なら俺がやります!リーダーが行く必要はない!」村人たちが口々に止める。
「お前たち…だが、俺はリーダーとしての責務を果たす!」リーダーは強く宣言する。
その覚悟の前に村人たちは黙る。
「あの〜、そんなに気を張らなくても大丈夫ですよ?」レオンは申し訳なさそうに言う。
リーダーは怪訝な顔をした。




