17.鈍器にされる前に自分からなる。
「マグネスさんのソロキャーン飯美味しいですね!今度レシピ教えてくださいね?リュウにも食べさせてあげたいんです!」ソフィーはマグネスの作ったソロキャーン飯を食べながら言う。
「いやいや、我が王の作るものはもっと美味だった。こんなもの比較にならん…」
「叶わない夢を見せるのはやめてくださいね?」
「すまない…」
「イリーナさんたち大丈夫かな…」レオンは食べながらつぶやいた。
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「いててて…なんだここ…」竜太郎は背中をさすりながら起き上がる。
「なんか崖というか滝から突き出てる岩の上よ。」私の言葉をきいた竜太郎は周囲を確認して私の言っていることが正しいことを確認する。
「なんでこんなところに引っかかってんだ?」竜太郎が不満そうに言う。
「私が引っかかったからついでにお前も上げてやったんだよ!感謝しろ?」私が強めに言うと竜太郎はゴニョゴニョと礼を言った。
「とにかく、はやくここから出ないとな。寒さで体力を奪われる。」竜太郎は落ち着いて言う。
「どうやって降りるの?下は滝壺だし私泳げないのよね。」
「泳げる泳げない以前の問題だよ。この高さから落ちたら死ぬからな普通。」
「じゃあ登る?」
「無理!」竜太郎は全力で否定する。
「高いところ苦手なタイプなの?」私は尋ねる。
「苦手じゃないやついないだろ。お前以外はな!」
「私だって怖いわよ!落ちたら戻るの大変だなと思うと怖くて怖くて。」
「その感性がもうおかしいの!」竜太郎はため息をつく。
「47個の必殺技があるんでしょ?何か使えばいいんじゃない?」
「ああ、言われなくたって…言われなくたって…」竜太郎は腰のあたりを撫でる。
「なあ、俺の剣知らない?」
「知らないけど?」
「ええ…落ちた時に失くした?」竜太郎は焦り始める。
「剣なんてまた買えばいいじゃない。ただ、迷宮都市で買うのはやめようね。」私は面倒臭いなと思いながら言う。
「いや、まあそうなんだがそうじゃないんだ。」竜太郎は焦りながら言う。
「なんで?」
「俺のあの剣は頑丈な特別製なんだ。あれじゃなけりゃ技が出せない。」竜太郎は焦りながら言う。
「え〜。」
「え〜じゃないんだよ!」
「私も護身用に短剣持ってるからこれ使えば?」私は自分の短剣を指さす。
「普通の剣を使っても耐えらずに粉々になるんだ。それじゃダメなんだ。」竜太郎は言う。
「え〜。」
「え〜じゃないんだよ!」
そんな話をしていると、空飛ぶ魔物が私たちを餌だと思ったのか近くを飛び始めた。
「ねえ、なんか狙われてない?」
「ああ、明らかに様子見してるな。」二人で話し合う。
数分後、魔物たちはさらに近くを飛び始める。そればかりか肉薄して威嚇し始めた。
「まずいな。」
「あれに体当たりされたら多分落ちるわよ?」
「見りゃわかるよ!」
「どうするのよ!」
「ああくそ!剣があればこの岩山を溶かしてスロープを作って脱出できるのに!こんな時に剣くらいの大きさで俺の膨大な魔力に耐えられる頑丈な棒があれば…何か、何かないか?」
「…」
「くそっ!あっちいけクソ鳥!何か、イリーナ、何か持ってないか?」竜太郎は私の短剣で魔物を追い散らそうとしながら言う。
「…」藪蛇はよくない。
「おい!なんとか言ったらどうなんだ!こんな時にボーっとしてんじゃねえ!足持って振り回すぞ!………足持って振り回す?」竜太郎はハッとする。
「考えなおそ!ねっ?」
「まだ何も言ってないだろ!」
「いやいや、何かないの?異世界から来たんでしょ?何かあるでしょ?」私は竜太郎の雑念を祓うべく話を逸らす。しかし、一度キッカケを得てしまった彼の思考は止まらなかった。
「おいイリーナ!俺に考えがある!全身硬化させろ!」竜太郎は水を得た魚のように私の方を見る。
だが、私もプライドのある人間だ。そう簡単に使われることはない。
そう、私は指図されてから硬化するのが嫌だったのであらかじめ全身を硬化させておいた。
「おぉ…用意がいいな。」竜太郎は言う前に硬化していた私を見て困惑しつつ私の足を握った。
「いくぞ!急いでるから技名はない!」竜太郎はそう言うと魔力を大量に流しながら私を崖に叩きつけた。




