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17.仲が悪くても暇なので話す。

「イリーナさんとリュウなんとかさんいないですね。」レオンはため息をつく。

「途中ではぐれたか。」マグネスも困った顔で言う。

「まあ、あの二人なら大丈夫でしょ。」ソフィーは平然と言う。

「それもそうですね。」レオンも笑顔で言う。

そう。こいつら全く心配していないのだ。


「それとも降りて一旦合流します?あそこに沢があるので下っていけば簡単に…」言いかけたソフィーをマグネスがものすごい形相で睨む。

「えっ、なに?」ソフィーは泣きそうになる。

「遭難した時、沢を下ってはいけない。」マグネスは言う。

「え?」レオンは聞き返す。

「ソロキャーンが趣味であった我が王が毎回おっしゃられていた。遭難した時に沢を下ってはいけない。まず尾根に出ろとな。」マグネスは真面目に解説する。

「そ、そうなんですね。じゃあ、僕らは上に行きましょうか。もうすぐ日も暮れますし目的地に行った方が安全かもしれませんしね。」レオンが言う。

「そうね。上からリュウたちを探せるかもしれませんしね。もう一人の女はどうでもいいですが。」ソフィーはニヤリとする。

「山で登るか降りるかの判断って難しいよな。」マグネスはつぶやいた。


こうしてレオンたちは山を登り目的地へ進み、イリーナと竜太郎たちは沢を降り始めた。



「あぁもう。なんであんたと沢下りしないといけないのよ。」

「こっちのセリフだ熊女!」

「何よ熊って!」

「お前のことだよ熊!」

「はぁ?!」

「…」

「…」

「疲れてきた。やめましょ。」

「そうだな。」


「もう疲れた。私はここで死ぬわ。置いていって…いや、あんたは普通に置いていくからもうちょっと頑張る。」

「一人で何言ってんだよ。」


・・・・・・・・・・・・・


「暇だから何か話さない?」

「いいぞ。」

「…」

「…」

「話せよ!」梯子を外された竜太郎は怒る。

「えっ、あ〜。どっから来たの?」

「ありきたりだな!まあいい。答えてやる。信じてくれないかもしれないが、俺はこことは違う世界から来た。」竜太郎は静かに語りはじめる。

「つまり海外?」

「違う!そうじゃない。外の世界なんだよ!」

「つまり海外でしょ?」

「だから違うって!理解力0か!」

「ふふふ、0よ!」

「なんで自信満々なんだよっ!」


「違うんだよ。ここと海外含めた世界Aがここだとしたら、それがもう一個あるかんじだ。わかるか?」

「わかった!理解した!」

「本当か?まあいい。誰も信じてくれないんだ。ソフィーは信じてくれたが他のやつは誰も信じてくれない。お前はどうだ?」

「信じる信じない以前に意味がわからない。もう一回最初から説明してくれない?」

「それ以前の問題かよ!熊に異世界の概念はまだ早かったか。」

「頭悪くて悪かったわね…」


・・・・・・・・・


「そっちはどうしてそんな防御力になったんだ?めちゃくちゃ知りたいんだが?」

「私は元魔術師だったから、防御とか回復できるならタンクできるだろ?って言われてそのままタンクをやらされて…」

「才能があったから伸びたと?」竜太郎は眉間に皺を寄せる。

「才能が…あったのかな…?」私は考え込む。

「才能の塊なんだよどう考えても!」竜太郎は少し羨ましそうに言う。

「才能?私だって努力したのよ?」私は心外だなという顔をする。

「じゃあ何したの?」竜太郎は尋ねる。

「なんだろう。何したっけ…ごめん言うほど努力してない。」

「なんだよ!」

「やっぱり人間才能のある部分を効率的に伸ばすべきなのよ!ね?」

「知らねえよ!」


「そういうあんたも天才冒険者なんでしょ?」私は尋ねる。

「まあな。俺は特殊なんだ。才能とか努力とかそういう話じゃないんだ。俺はな…」竜太郎は寂しそうに言う。

「あんたの出鱈目な強さも気になるけどね。」私は尋ねる。

「お前が言うか…まあいい。別に隠す必要もないしな。俺はな、女神に手違いで殺されて、お詫びにギフトをもらって転生させてもらったんだ。」

「へえ、でっ、どんな死に方したの???」

「なんで過去イチ興奮してんだよ!」竜太郎は軽蔑の目を向ける。


「馬に蹴られた。」竜太郎は軽トラに轢かれたことを異世界風に改変して説明する。

「へえ、馬に蹴られたら死ぬんだ。」

「お前は死なねえだろうな!」

「それで、どんなギフトを貰ったの?」私は尋ねる。

「それは、俺のちゅ…ん?なんか滑っ…」竜太郎はぬかるんだ地面に足を取られ滑る。咄嗟に彼は私の服を掴んだのでそのまま一緒に滑落した。


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