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17.迷宮都市ハイパーインフレ編

『ドキュメント迷宮都市』


 こんにちは。王都毎月通信のフランクです。

今日は迷宮都市に来ています。現在迷宮都市で起こっているある異常事態をご存知でしょうか?


え〜、このただのシャツですが、これがなんと金貨9枚。そしてそして、このパンもなんと金貨1枚なんです!

今迷宮都市で起こっているある出来事についてドキュメンッ!


王国首都の南にある迷宮都市、ここである異常自体が起きている。それは、急激な物価高騰。ここ一ヶ月で物価が最大約10倍以上に上がっているのです。


「え〜、この串焼きですが、前回来た時は銀貨一枚と銅貨一枚だったのですが、現在は銀貨5枚とほぼ五倍です。」


フランクは街を歩きろくろを回す動きで話す。

「ここ一ヶ月の急激な物価高騰の原因はなんと迷宮都市の象徴とも言えるギルドなのです。」


半年前、街のシンボルであったギルドが老朽化により倒壊、その後新ギルドが作り直されたのですが、これも建築家が爆破したことにより破壊されてしまいました。

迷宮都市自治政府は二度のギルド再建のため市債を発行し周辺国や貴族から資金を得ました。

そしてあろうことか自治政府は返済のため通貨を大量に発行したのです。これにより貨幣価値が暴落。インフレーションを引き起こすことになったのです。


さらに、自治政府はあろうことか貨幣改鋳を実施しました。金貨と銀貨における金銀の含有量を下げその差額を返済に当てようと試みましたが、悪貨は良貨を駆逐する。さらに貨幣価値が暴落さらに迷宮都市の雇用の要であったギルドの機能縮小によって迷宮都市では史上最悪レベルのインフレに見舞われることとなったのです。


「いや〜キツいですね。」男性冒険者は語る。

「たとえば品物の値段が金貨5枚の時に、報酬が金貨10枚の依頼を受けてダンジョンに潜って戻ってきたら、品物の値段が金貨7枚になってるんだ。これじゃあ生活できやしない。」冒険者は激しく憤っている。


こちらの女性は長年安くて美味しい食事を冒険者たちに振る舞っていましたが、この物価高で苦境に立たされています。

「原材料が高くなって値段も上げないとやっていけなくなった。親の代から受け継いできた店なので…悲しいですね…」声を加工された女性が啜り泣く。


無職の50代男性は…

「こんな経済に誰がした?政治だ!政治の責任だ!市長は辞職しろ!そしてもっと金を作って配るんだ!そ…」


こちらの冒険者RさんとSさんはあらかじめインフレを見越して資産を王国の通貨と交換していたといいます。

「どいつもこいつもバカだからさ。インフレになって当然なんだよ、こんなゴミくそ都市、悪いけど。遅いくらいなんだ。もっと前になるべきだった。ゴミだよこの街は。ダイナマイト爆破かなんかしてブルドーザーエレファントでかたした方がいい。」

「ちょっとリュウ!言い過ぎ!」



・・・・・・・・・・



「あの留年野郎一人だけ安全圏に逃げやがったのか…」私はつぶやく。

「ギャグ時空ならインフレも収束するのではないか?」

「マグネスさん?何を言ってるんですか?」レオンが圧力をかける。

「おっとすまない…俺はなにを言っているんだ…」マグネスは困惑する。


「でも、上級冒険者ならともかく運悪く見習い冒険者になってしまった私たちでは今のハイパーインフレ迷宮都市では生きていけないわね。」

「そうですよね。依頼を受ける制限もありますし、僕らが受けれるレベルの依頼では生きていけないですよね。」レオンが悲しそうに言う。

「だな。ここ一ヶ月で今までの貯金が全部なくなったからな。」マグネスも悲しそうに言う。


「仕方ない。私たちもあれをやるしかないわね。」私の言葉にレオンとマグネス間に緊張が走る。

「夜逃げですか?」レオンが言う。

「違うわ!」


「このインフレを終わらせるのか?」マグネスが尋ねる。

「いや、今のニュースの説明きいてもよくわかんなかったから無理。」

「我が王の経済政策をここで実施すればなんとかなるかも。」

「へえ、王様はどんなことをしたの。」

「私は護衛故難しいことはわからん。」

「役立たず!」


「夜逃げでも経済政策でもないわ。出稼ぎよ出稼ぎ。」

「へえ、どこ行くんだ?ブラジル?」竜太郎がいきなり顔を出す。

「うわぁ!びっくりした!っていうかブラジルってなに?」

「別に、こっちの話だ。さあ行かう一家をあげて南米へってな。」竜太郎が頷く。

「わかるように喋って。意識高い系冒険者じゃないんだから。」

「意識高い系冒険者?そっちにもそういうのいるんだ…」竜太郎は苦笑いする。


「ともかく、私たちは出稼ぎに行く。迷宮都市では生活できないからね。」私はため息をつく。

「まあ、俺はこのインフレでもあらかじめ動いたから結構リッチなんだぜ。」竜太郎が金貨をコイントスする。

「まあ、出稼ぎのための渡航費くらいは貸してやってもいい。俺はあらかじめ外貨に変えておいたからリッチなんだ。」竜太郎は重ねて強調する。

「ごめん、凄さがわかんない。」

「…あっそ。」竜太郎は相手の反応が薄く悲しそうだった。

「イリーナさん、これもリュウなりの優しさなんですよ?やっとみつけた対等以上にやりあえる相手に廃業してほしくないんですよ?」ソフィーが耳打ちする。

「こら!ソフィー!やめろ!」竜太郎は、笑いながら逃げ回るソフィーを追いかけ回す。

「あの、狭い部屋で暴れないでください…」レオンは悲しそうに言う。


「で、出稼ぎってどこに行くんですか?」レオンが尋ねる。

「いるでしょ?知り合いに金持ちがさ。」私はレオンに微笑みかける。

「え〜、いたか?」マグネスが考え込む。

「さあ行かう パーティーあげて 南方へ。」私は外を指差す。

レオンたちは首を傾げた。

「何言ってんだお前?」竜太郎がドン引きする。

「お前が最初に言ったんだろ!」


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