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15.囮に適任な女

  見習い冒険者は最初の三ヶ月間、中級以上の冒険者の元で指導を受ける必要がある。

そして、初級冒険者のイリーナとマグネスも同様に中級冒険者の元で指導を受ける必要がある。

そして、身近にいる中級冒険者といえば…

「「レオン師匠、よろしくお願いします。」」私とマグネスは師匠に挨拶する。

「よろしくおねがいします…」レオンは困ったように言う。

「で、どうする?師匠。」マグネスが尋ねる。

「うーん、中級と見習いだけのパーティーでは迷宮に潜れる階層も制限されますし…」レオンは考え込む。

「よし!じゃあ行ける中で一番難易度の高い依頼を探しましょう!」レオンは大きく頷いた。



私たちは仮設ギルドに来る。


「いやいや、おかしいだろ?最近申請したばっかりじゃないか!」聞き覚えのある声だ。

「そう言われましても規則ですので。」受付が冷徹に突っぱねる。

「規則規則ってさぁ…もう上の人出して!話がわかる上の人!」

「お引き取りください。」

「帰れるかよ!そんなのおかしいだろ!」見覚えのある後ろ姿の二人組が受付に食い下がっている。


「おーい!留多浪さん!」レオンが後ろから声をかける。

「おっ!その呼び間違え方はレオン!」竜太郎が振り向く。

「久しぶりで〜す。」ソフィーも手を振る。

「どうしたんですか?」レオンが尋ねる。

「聞いてくれよ!こいつらが、更新ができてないから依頼を受けさせないって言いやがるんだ!」竜太郎は明らかにイラついている。

「そうなんですね…更新忘れてたんですね。」レオンは悲しそうに言う。

「そうなんだよ。最近なったばっかりなのにこんなすぐ更新なんておかしいだろ?お前もなんか言ってやってくれ!」

「それは気の毒ですね。」レオンが言う。

「イリーナだっけ?お前上級冒険者なんだろ?」竜太郎は私にも声をかける。

「え?私今も見習いだよ?」

「お前もかっ!」竜太郎は突っ込む。

「まあまあ、今は皆で頑張って階級を上げよう。」マグネスは言い合っている二人を見ながら言う。

「まあ、そうだな。今は協力する時だ。見習い冒険者では生活もままならん。」竜太郎は面倒くさそうに言う。

「うんうん。」私も頷く。


「で、この中でリーダーになれる最高位は誰なんですか?」ソフィーが尋ねるとレオンが申し訳なさそうに挙手した。

「「ええ…」」竜太郎とソフィーは困惑した。



ともかく、やることは決まっている。まず全員でダンジョン外で難易度の高い依頼を受け続け中級昇格資格を得る。そのためには規制の緩い迷宮都市外で実績を得る必要がある。

5人は迷宮都市を出て依頼の場所に向かった。


 山間の村々では最近、近くの山に住み着いたゴブリンたちによって被害を受けていた。今回の依頼はゴブリン討伐であった。


「なんでゴブリンは殺されてしまうんだ?」竜太郎はもうゴブリンが皆殺しにされる前提で話を進める。

「哲学的な質問。流石リュウね。」ソフィーが嬉しそうに言う。

「ゴブリンはね、昔は人類と共存してたらしいんだけど、我々の文明の高度化によって知能が我々より低いゴブリンたちは着いて来れなくなって人間との経済活動に関わることができなくなったの。そういう彼らにとって生きる手段は略奪しかなくなったの。悲しい生き物よ。」

「めっちゃ言うじゃん…」竜太郎は引く。

「そうそう。それでいて人間の奴隷にならないレベルの知性とプライドがあるせいでこれまた略奪でしか身を立てられない。」マグネスが心底共感したような顔をする。

「そうなんですね…」レオンは困惑しつつ返事をする。

「我が王も彼らとの関係改善を試みて色々と宥和政策を行ったがどれも上手く行かなくてな…プライドが高過ぎて間を取れないのだあいつらは。」マグネスが嫌なことを思い出したのか悪態を吐く。為政者側にも色々あったのだろう。


「だが、盗賊ゴブリンをどうやって見つけるんだ?」竜太郎が尋ねる。

「どうするリーダー?」私はレオンになすりつける。

「うーん、ともかく依頼元の村に行きましょう。」レオンは自身なさげに言った。


依頼元の村につく。すぐに村長が挨拶に来た。ゴブリンたちがこの村で何度も略奪を繰り返していること。この前も女子供や家畜を攫われたことなどを必死に訴えてきた。

「それでそのゴブリンたちはあっちに逃げて行きました。」村長は村の近くの山を指差す。


「山か…山の上だと落として攻撃はできないですね。」

「そうだな。面倒だな。」レオンとマグネスはヒソヒソと議論している。

「何を落とすんだ?」竜太郎は不思議そうにきく。

「石よ。」私は恥ずかしいので誤魔化す。


「っていうかまた山登りは面倒ね。しかもターゲットは複数。見習い冒険者にはキツいね。ねえマグネス。」

「ああ、ちびりそうだ。なあイリーナ。」

「いや、私はちびらないけど。」

「唐突な裏切り…」

「勝手にちびらせないで!」



「おい、お前ら。遊んでないでさっさと終わらせるぞ。どうするんだ?」竜太郎が大声で尋ねてくる。

「踏み込みます?」ソフィーが面倒くさそうに言う。この子は私と同じスタミナ0の民だ。

「ただ、こんな重装備で相手の拠点に踏み込んでも警戒されて隠れられて終わりですよ?」レオンは考える。

「確かに、そこの棺桶男なんて絶対襲いたくねえもん。」竜太郎も同意する。

「うまく誘き出して拠点の場所を突き止められませんかね。拠点さえわかれば力ずくなり話し合いなりできますからね。」レオンも頷く。

「問題はどうやって誘き出すか…か。」マグネスも考える。

「ゴブリンは女子供を攫うって言ってましたよね。」ソフィーが呟く。

「つまり、女を一人囮にして誘き出せばどうだ?」竜太郎が思いついたように言う。

「問題は、そんな危険な任務を受けてくれる女がいるかどうか。見習い冒険者の私はそんな高度なことできないけど…おーい、なんでみんな私の方を見るの?」

「「「「…」」」」

「おーい。なんで私を見るのかな?」

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― 新着の感想 ―
[気になる点] >>5人は迷宮都市を出て依頼の場所に向かった。 まで,エピソード58と全く同じ文章のようですが,これは意図的にそうしているのでしょうか.
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