14.冒険者ライセンス更新?私も一肌脱ぎますか!
「今日は暖かくてお昼寝日和ですね。」レオンが目を閉じて呟く。
「そうだな。いい気持ちだ。」マグネスも言う。
「今日は仕事とかせずゆっくりしたいですよね〜。」
「我が王もそうだと言っている…」二人とも眠そうだ。
「ねえ、レオン、冒険者ライセンスの更新はした?」私が声をかけるとレオンが固まる。
「冒険者ライセンスの更新???なんですか?それ?」レオンは顔をひきつらせ尋ねる。
「レオンは中級冒険者だからそろそろでしょ?」
「そんなのあったんですね…」レオンは面倒くさそうに言う。
「そう。あるのよ。でも、ギルド側も通知してくれないから冒険者仲間から教えてもらうしかないのよね。本当理不尽な制度だと思うわ。」私はため息をつく。
「忘れたらどうなるんですか?」レオンが恐る恐る尋ねる。
「見習い冒険者からやり直し。」
私の言葉にレオンは顔をこわばらせる。
「それは…困りますね。」レオンはうわぁ…と言いたげな顔をする。
「早めに知れてよかったじゃない。私の更新もそろそろのはずだから私も警戒してたの。命拾いしたわね。」
「早めに教えてくれてありがとうございました。」レオンは本気で感謝している。
「ところで、更新って何するんですか?」レオンが尋ねる。
「うーん、簡単な筆記試験と簡単な講義、あと金貨2枚払わせられるよ。」
「結構取られますね。」レオンは嫌そうな顔をする。
「そうなのよ。」
「ところで、筆記試験はどういう問題が出るんですか?」レオンは不安そうに言う。
「心配しなくていいわよ。あんなの勉強しなくても受かるよ。大丈夫大丈夫。」私は雑に流す。
「いやいやいや、それだけだと何もわからないですよ!せめてどんな問題が出るのか教えてくださいよ!」
「あーもう、しょうがない。どんなのがあったかな。そうそう、思い出した。」
「第一問。デデン! 中級冒険者が潜ることができるのは第何階層?」
「これは簡単ですね。40です。」レオンが言う。
「はい正解。ね?簡単でしょ?冒険者やってれば余裕で解ける問題よ。」
「ちょっと安心しました。他の問題もないんですか?」レオンは少し調子にのる。
「じゃあ、第二問。ドドン!」
「そこ変わるんですね?」
「迷宮の階段の近くにゴミを捨ててはいけない。正しいか正しくないか。」
「これは簡単です!階段の近くにゴミを捨てるといざという時撤退の邪魔になるからダメ。つまり、正しい。」レオンは自信満々で答える。
「残念。不正解。正解は、どこであろうと迷宮にゴミを捨ててはいけません。」
「ええええ?なんですかその意地悪問題!」
「まあ、こういういやらしい問題は出るけど、大丈夫。落ちるやつほとんどいないから!」私は笑顔で言う。
「僕がそのほとんどのうちの一人になったらどうするんですか!いや、別にイリーナさんはどうしなくてもいいですけどっ!」
「別に、こんな意地悪問題だけが出るわけじゃないから、意地悪問題を落としても合格は余裕よ。」
「でも…」レオンは不安そうに俯く。
「そんなに不安なら過去問を買えば?ベテラン冒険者に金貨一枚でも払えばニッコニコで過去問くれるわよ。」私の言葉にレオンは早速外に飛び出した。
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一方その頃、ある大学に拾われたジュリーマン教授は学生が過去問を先輩から買って試験を突破することに対する対策を考えていた。
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「買えました!なんか強そうなパーティーのアレンさんとか言う人が売ってくれました!」
「へー、よかったじゃん。そのアレンって人なんか全体的に青い人だった?」私は恐る恐る尋ねる。
「そうですよ。なんか、いいタンクがいれば紹介して欲しいとか言ってました。」
「へー。(私をクビにした前パーティーじゃん!っていうか、まだタンク見つかってないんだ…)」
「どうかしましたか?」レオンが不思議そうに尋ねる。
「いや、なんでもない。」
「そうですか。でも、さっき見てきたんですけど、更新明日なんですよ。どうしましょう…」レオンが不安そうに言う。
「一夜漬けしかないね。」私は素っ気なく言う。
「イリーナさんも更新近いんですよね?今晩試験勉強を手伝ってくれたら一石二鳥ですよ?」レオンは私に縋る。
「はぁ、仕方ないな。夜更かしはお肌の敵だけど、仲間のために私もひと肌脱ぐとしようかな。」私はレオンの勉強を手伝うことを決める。
「ぬ、ぬ、脱ぐ?何で?変態?」レオンが困惑する。
「違うわ!!!」私はレオンの肩をぶっ叩く。
「むにゃむにゃ…」マグネスは気持ちよさそうに昼寝をしていた。




