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13.ギルド倒壊!支柱と化したイリーナ。

 今日も迷宮都市は平和だった。昨日降った雨でできた水たまりの上を住民たちが歩いてゆく。


私たち3人も今日の依頼を終えギルドの前で喋っていた。


その時はあんな悲劇が起こるなんて誰も想像すらしていなかっただろう。




「確かに、雨漏りが酷かったんですよ。」ギルドの受付女性が語る。


「前日に結構雨が降ったじゃないですか?その時に廊下を歩いてたら水を踏んだんですよ。なんだろうと思ったら雨漏りしてて、とりあえずバケツ置いたりはしてたんですけどね。」




こちらの冒険者の男性はその一週間前に異音がしたと証言しています。


「ちょっとギルドの人と三階の部屋で話してたんです。そしたら、壁からメキメキって音が聞こえて。確かに、壁とかにヒビも入ってたし、この建物古いからね。」




・・・・・・・・・・・・・・・・




「でさ、結局商会まで行って蜂蜜酒探したんだけど、またあったら入荷するって。でもあいつらいっつもやるやる詐欺だからね。信用がどこいったんだ!って思うよね。」私はレオンにそうぼやいていた。


「はぁ、断酒してくださいね。」レオンが呆れる。


「いや、わかってるけどさ。」そう言った瞬間の柱がバリバリと音を立て折れた。そのまま柱が支えていた梁が私の頭に落ちてきた。


「イリーナさん頭!」レオンが叫ぶ。


咄嗟に頭部を硬化させ梁を受け止める。だが、今度は首に全重量がかかってきたので首も硬化する。そうすると腰に…とイタチごっこになるので全身硬化させた。




「イリーナさん!まずいです!ギルドの建物が崩壊し始めました!」レオンが血相を変える。


(え?)私は心の中で絶望する。




四階建ての建物がどんどん傾き崩壊していく。建物の中にいる人間も外にいる人間たちも皆悲鳴を上げながら逃げ惑う。


「まだ中に人が!」


「崩れるぞ!」皆口々に喚きながら逃げ惑う。


私は硬化を解かなければ逃げることができない。だが、解くのには時間がかかる。救助を信じるしかない。それより問題は、まだ逃げていないレオンだ。建物は私たちの方へ崩れようとしている。


(早く逃げて!)と心の中で叫ぶ。


窓ガラスや屋根が落ちてくる中レオンはただ崩れゆく建物を見上げている。足がすくんだんのか?それはありえない。この男は意外と冷静に最善の一手を打てる人間だ。私を鈍器にしたのも彼の判断力のなせる技である。何か考えが…などと考えていた。


「止まった…」レオンが呟く。


「止まりました!建物の崩壊が止まりました!」レオンが嬉しそうに言う。


どうやら私という名の最強のつっかえ棒のおかげで崩壊が一旦止まったようだ。ともかく一息つける。




その後三時間ほど私は持ち堪えた。その間に中から負傷者が出てきたり残っている人がいないか何人かの冒険者が残った人を探し、その後重要書類などを運び出していた。




「ねえ、私いつまでこうしとけばいいの?」


「さあ、いつまででしょうね。」レオンが困った顔をする。




「あの、すいません。名簿取りに行きたいんですけど?」職員が申し訳なさそうに言う。


「行けば?」


「はい、ありがとうございます!」職員は申し訳なさそうに中に入って行った。


だが、人の欲望は果てしない。私が建物を支えているのをいいことに、人々は次々とギルドから重要そうなものから重要そうでないものまで様々なものを運び出す。


これ中のもの全部運び出すまでこのまま?などと不穏な考えがよぎった。


だが、変に動けば生き埋めになるので仕方なく心を無にして立っておくことにした。


私の背骨には何人もの人の命がかかっているのだ。

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