10.私の勇者様
あの時村で呪いの娘として忌み嫌われ足蹴にされ狭い納屋に閉じ込められてた私を、あの時あなたは「呪いの娘なんて非科学的だ。そんなことはあり得ない。」そう村人たちを一蹴して私をあの村から連れ出してくれた。
ずっと暴力を振るわれ閉じ込められ上手く歩けない私の手を引いて私のペースに合わせて歩いてくれた。
あの時花畑でみたあなたの横顔を生涯忘れることはないでしょう。
あなたがどうなっても。どれほど惨めな姿になっても。どれほど醜い姿を見せたとしても。
それでも私は…
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地上に出た。
「じゃあ、私たちはアイテムを換金してから帰るね。」
「今日はお疲れ様でした。」
「おつ。」3人で別れの挨拶をする。
「こちらこそ。お疲れ様でした。」ソフィーも頭を下げる。
「三留。ソフィーちゃんのこと大切にするのよ?死ぬ気で大切にね?」私は竜太郎に言う。
「言われなくてもわかってるよ。」彼は恥ずかしそうにそっぽを向く。
そして二人は寄り添いながら去っていった。
「あの時とは逆ね。」ソフィーは嬉しそうに言う。
「ああ。図らずもな。」竜太郎も気まずそうに言う。
「いいわね。甘酸っぱい。ああいう関係性憧れるな。尊い。美しい。ね?」私はレオンに訴えかける。
「そうですよね。」
「いいな。」レオンとマグネスも微笑ましく言う。
「いいのよ〜ママって呼んでもいいのよ?」
「うぅ…でもお前もうやらないって…」
「もう邪魔する女は誰もいなくなったんでしゅからね〜」
「そうだな…」
「帰ったら…ね?」
「久しぶりに甘えたいな。」二人の会話が聞こえてくる。
「あ〜。言うほど美しくなかったかも。」私は苦笑いした。
転生勇者編 完




