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8.俺は帰る!こんなところに居られるか!

 宴会など開ける状況ではないが、リョカーンの宿泊客は広い宴会場に集められた。

私たちは全員円になって座る。

皆近くの人とヒソヒソと喋っている。


「えー、みなさん。お集まりいただきありがとうございました。」支配人が立ち上がって言う。

「みなさん知っての通り、先ほど殺人事件が起きました。ですので、ここで犯人を見つけ出します。警察なんてありません。私刑です。」支配人は物騒なことを言う。

「この中に犯人がいるのですか?」貴賓の良さそうな高齢女性が震え声で尋ねる。


「お、俺は嫌だぞ!こんな殺人鬼がいる、こんなところに居られるか!俺は帰る!」40代くらいの男がそう言ってさっさと外に出てしまった。

「あっ!ちょっと!」支配人は呼び止めようとしたが行ってしまった。

「まあいいです。誰か彼を呼びに行ってください。」支配人が疲れた顔で言うと、男性従業員が二人部屋を出て行った。




「はぁ…はぁ…クソ!俺は逃げるぞ。こんなところにいつまでも居られるかってんだ。さっさと荷物をまとめて逃げてやる。」男は荷物を引っ掴むと自室を出る。

誰も居ない薄暗い廊下を走る。自身の足音と床板の軋みだけが響き渡る。


ふと自分とは違う足音が聞こえる。そして、廊下の角から出てきたものと目があう。

「お、お前何してんだよ?みんな宴会場に集まれって…というかお前」男は言いかけたところで、腹部を温かいものが垂れていくのを感じた。腹を押さえるとべっとりと何かが手につく。

手のひらを見ると赤く染まっていた。

「いやああ!」男は叫び声を上げる。現実を理解した瞬間耐え難い痛みに襲われる。

「嫌だ!助けて!やめて、俺は、帰る…こんなところから…


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