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8.ステータスオープンって言えばどうにかなるわよ。

 「おっ、商隊護衛任務がある!やる?」私は新たな依頼を見つける。

「もうダンジョンには潜らないんですか?」レオンは困惑する。

「そういえばそんなのあったわね。」

「ダンジョンを忘れないであげてください…」


私たち3人は隣町まで商隊の護衛をすることになった。このあたりは魔物や盗賊などに襲われてしまう可能性があるため現地で護衛を雇うのはいつものことである。

まあ、この辺りの盗賊はなぜか最近いなくなったので問題は魔物だけなのだが。


途中で三度魔物の群れを撃退した。そして、3回とも私が魔物を引きつけたおかげで商隊は無傷だった。


「イリーナさん。」商隊に随伴してぼーっと歩いているとレオンが話しかけてきた。

「なに?」

「なんでそんなに防御力だけ高くなっちゃったんですか?」レオンが不思議そうに尋ねる。

「えっとね。『ステータスオープン!!!」って叫んでそこの数値をいじったらこうなったの。」

「え?!そんなことできるんですか?」レオンは目を丸くする。当然嘘だ。

「できるできる。やってみ。」

「そんなことあるんですか?マグネスさん?」レオンはマグネスのの肩を叩く。

「ああ、我が王もそんなこと言ってたかも。」マグネスは虚空を見つめながら言う。

私なんかと同レベルの嘘をつく王はどうかと思うが。


「流石に冗談ですよね?ステータスオープンなんて、ラノベじゃないんですから。」レオンは笑う。

「俺も知りたい。その年齢でそのステータスは流石にステータスオープンしたとしか思えない。」マグネスも不思議そうに尋ねる。

「あなたたちステータスオープンをなんだと思ってるの?」とツッコミを入れつつ私の過去を語り始めた。



 「私がこの街に来た時、最初は魔術師になりたかったの。私は魔術の適性があったし、魔術が使えればどのパーティーでも潰しが効く。それに冒険者以外の仕事でも食べていけるからね。」


「確かに、魔術が使えれば公務員とかの道もありますからね。」レオンが頷く。



「だから私は魔術師専門学校に行ったの。

でも、当時の私は魔術の適性があると言っても、実戦向きの魔術は使えないから中堅パーティーには入れなかったの。

だから、まずは弱小パーティーでスキルを磨いてから実力がついたところで中堅以上のパーティーに転職しようとしたの。」



「なんか都市の魔術エンジニアみたいなこと言ってるな。」いつの間にか話に混ざった商人が笑う。



「それで、私は弱小パーティーの魔術師として冒険者デビューしたの。

私最初は魔術で味方をサポートするつもりだったんだけど、パーティーのリーダーが

「うち人手が足りないからさあ、魔術師さんタンクやってくれない?」って言われてタンクをやる羽目になったの。」



「ああ、人手不足の組織はどこもそんなかんじになるんだな。」

「王都の魔術エンジニアもそんなかんじだよな。スキルつけて上に行くと意気込むけど結局魔術使わないみたいな。」商人たちも私に同情の眼を向ける。

「生々しいな。」マグネスが辛そうな顔をする。



「でも、なぜか私にはタンクとしての適性があったらしくてなんか防御力だけがバカみたいに上がって、魔術師適正の影響か高倍率の硬化スキルも手に入れて今に至るってかんじね。」



私は説明を終える。


「経緯は分かったんですけど、一番知りたいところが”なぜか”なのがねぇ。」レオンが苦笑する。

「理由も何も、なぜか伸びたのよ。マグネスだってなんかしらないけど身長が伸びたでしょ?」私が同意を求める。

「背が伸びた時のことは覚えていないが、特に何かした覚えはないな。そういえば、我が王もなんか気がついたら王になってたと言っていた。」

「うん。そういうこと。 でも、王は普通に世襲じゃないかしら?」

「そうかもしれん。」


・・・・・・・・・・・・


「着いた!」私は隣町に入ると伸びをする。

「やっと着きましたね。」レオンもため息をつく。

「へえ、こんな街があるのか。」マグネスはめずらしそうに辺りを見回している。

商人から今日の報酬をもらったのでこの後どうするか話し合う。


「この後どうする?帰る?」私は二人を見る。

「でももう夜ですよ。」レオンが少し赤くなった空を見ながら言う。

「ソロキャーンの出番か?」マグネスが目を輝かせる。

「しないわよ。」

「クゥン…」


「よろしければ、私の経営している宿に泊まりませんか?」どうするか議論していると商人が後ろから声をかけてくる。

「報酬を回収したいの?」私は商人の目を覗き込む。

「ギクッ!い、いえ、そういうわけではないんですけどね?」商人は焦り始める。


「しかし、私の宿は上流階級の方も泊まりに来るんですよ?」商人は説明し始める。

「高級なんですか?」レオンが目を輝かせる。

「高級、というのは少し違いますね。しかし、かなり珍しい作りになっております。」

「珍しいとは?」新しいもの好きのマグネスが食いつく。

「異国の建築様式を採用しているのです。リョカーンっていうものなんですけど。」

「リョカーン?」私は首を傾げる。

「ええ。特別に。”特別に”お安くしときますよ?」商人は人差し指を立てながら私たちに詰め寄った。

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