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30.秘策

「考え?どうするんだ?」竜太郎が尋ねる。

「イリーナさん、さっき捕まえた時、あいつはどうやって逃げましたか?」レオンは尋ねる。

「わからない。消えたの。攻撃を受ける直前にね。」私は手を握りしめる。

「やっぱり。あいつはこの空間から自由に消えることができるんじゃないでしょうか。」レオンが推測する。

「なるほど。だから攻撃が通じなかったのか。」マグネスが頷く。

「確か、昔読んだ本にも、魔王はいかなる攻撃も通じないと書いてた気がします。」ソフィーが思い出したように言う。

「なるほど、防御しているわけじゃなくて消えて逃げているってことなんだな。」竜太郎も納得したという顔をする。

「そういうことです。」レオンが頷く。

「で、どうするんだよ。どうしようもないだろそれ。」竜太郎がレオンを睨む。

「いけるかどうかはわかりません。実際どうしようもないのかもしれませんけど、まだこっちが動ける内に試してみるべきです。」レオンは珍しく力強く力説する。

「悪いが、一時撤退すべきだと思う。ベルを救出するにしても、皆殺しにされれば元も子もない。」マグネスは難しい顔をする。

「私も同意見です。これ以上続けば私の魔力も底を尽きます。けど、逃げに徹するなら、今ならまだあいつを撹乱する魔力が残ってる。」ソフィーも消極的だ。

竜太郎は苦々しい顔をする。

レオンは反対する二人を見て困り顔になる。


「私は賛成。可能性があるなら実行すべきよ。せっかくのレオンの覚悟を拭いにするのはパーティーリーダーとして…いや、今って一番階級が上のレオンがリーダーだっけ。まあいいや。とにかく私はやる。もし失敗したら私が責任を持って囮になる。」私はレオンを見て頷く。

「イリーナさん。」レオンは嬉しそうな目をする。

「私は元上級先輩冒険者としてレオンに機転には一目置いているからね。私を鈍器にして振り回すなんてなかなか考えつくことじゃないわ。」私の言葉にレオンは恥ずかしそうに肩を竦める。

しばらく竜太郎はその会話を聞いて考え込むと、話し始める。

「お前が行くって言ってんのに俺が尻尾巻いて逃げるわけにはいかないからな。ベルのために俺も戦うよ。」竜太郎が剣を強く握る。

「ここから先は強制はしない。ベルと遊んでたの私と竜太郎だけだからね。命を張ってまでここで戦う必要のない二人は逃げても誰も責めたりはしない。」私は帰りたそうなマグネスとソフィーを見ながら言う。

マグネスも考えている。

ソフィーはまだ迷っている。無理も無い。彼女は魔術師であり、魔王との圧倒的実力差と異質さが誰よりも理解できるのだ。


マグネスは深呼吸をする。

「よし。私も戦おう。」マグネスは静かに言う。

ソフィーはマグネスに縋るような視線を送った。

「イリーナ、レオン、二人が戦うなら私も行く。帰り道がわからないからな。」マグネスは仕方なさそうに言う。

唯一の味方を失ったソフィーは泣きそうな顔をしていたが、しばらくすると、いきなり両手で頬を叩く。

「わかったよ!やればいいんでしょやれば!言っとくけど、私弱いから当てにしないでね!」


「よし、話はまとまりましたね。」

「言うほどまとまってるか?」レオンの言葉に竜太郎は疑問を呈す。 


「じゃあ、早速作戦を聞かせてよレオン。」私はレオンの方を見る。

「わかりました。申し訳ないですけど、イリーナさんが囮です。」

うん、知ってた。 タンク歴5年。慣れたものである。

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