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26.一つ飛ばして四天王

「くそぉ…完全にとばっちりじゃねえか俺たちはよぉ…」エトは震えながら言う。

「うるさい!こうなったなら仕方ないでしょ?やるしかないじゃない!」ニーハはエトの尻を引っ叩く。

「痛え!自分の馬鹿力を考慮した上で叩け!」エトが大声で文句を言う。ニーハも何か反論しようと口を開いた時、いきなり猛烈な威圧感を感じそちらを見る。


「あら、どの面下げて来たの?裏切り者。」女がこちらを睨んでいる。

「裏切り?別に俺たちはお前らの思想に賛同してたわけじゃないし、そもそもお前たちが報酬払わなかったからこうなったんだろ?」エトはふざけんなとばかりに反論する。

「そうか。わかった。報酬を払おう。そうすれば帰ってくれるか?」女は尋ねる。

「ああ。もちろんだ。すぐ帰る!」エトは大きく頷く。

「分かったわ。報酬を持ってくるから少しお待ちいただける?」女性は尋ねる。

「ああ。待つ。待つよ。」エトは心底ホッとした顔で親指を立てる。

「じゃあ報酬を持ってくる…と言うとでも思ったか!死ね裏切り者!まずそこのガキから引き裂いてやる!」いきなり豹変した女が鎌を振り翳しニーハに襲いかかる。


この四天王の女はニーハが後方支援役だと思っていた。だが違ったので彼女の攻撃はあっさりと避けられ体格に見合わないパワーで踏みつけられ地面に頭を埋められてしまった。

打ちどころが悪く彼女はそのまま動かなくなってしまった。


「なんだったんだ?今の?」エトは拍子抜けした顔で言う。

ニーハも悪態すら忘れて首を傾げるだけだった。


こうしてこの戦いは四天王の一人が名前や能力すら明かさないまま退場するという異例の結末を迎えたのであった。

人を見た目で判断するのは良くないと言うことを教えてくれた四天王だった。



・・・・・・・・・



「戦いが止んだのか?」竜太郎はあたりを見回す。

「そうみたいね。それにこの辺り急に魔力反応が増えてる。」ソフィーは竜太郎の服を掴みながら不安げに言う。

「大丈夫だ。多分な。」竜太郎は短く呟く。

「多分って…」ソフィーが言いかけた瞬間、急に周りが明るくなる。


「何?」ソフィーはあまりの眩しさに眼を覆う。

目が慣れた竜太郎は周りの光景を見て驚く。

なんと、いつの間にか完全武装の兵士たちに包囲されていたのだ。

竜太郎は迷わず兵士たちを薙ぎ払う。だが、倒しても倒しても兵士たちが出て来てその穴を埋める。

「なんだこいつら?」竜太郎は顔を顰める。


「どうだ?私の能力は。」兵士の後ろから声が聞こえる。同じ姿の兵士たちの奥にいてよく見えないが、一人だけ違う格好の人間がいる。

「誰だ?」竜太郎は怒鳴る。

「私は魔王教団四天王の一人。創世のガレット。私の能力は、兵士を無限に生み出すことだ。」



 自己紹介をしたガレットが腕を振ると十数人の兵士が現れる。

「四天王は私一人しか残っていないが、まあいい。私一人で十分だ。貴様らを踏み潰してやる。」ガレットはそう言うと手でゴーサインを出す。

同時に兵士たちが一斉に襲いかかってくる。兵士一人一人の強さは大したものではない。竜太郎はすぐさま切り伏せる。しかし、無限に生み出される兵士はいくら倒しても減らない。

「物量戦か!」竜太郎は怒鳴る。

「そうとも。」奥から声が聞こえる。


「こんなもん!」竜太郎は雑兵を薙ぎ払う。しかしまた次から次へと増えてくる。ソフィーを守りながら戦わなければならないので下手に動けないのだ。

だんだん二人は圧迫され始める。必殺技が使えれば勝てるのにと竜太郎は唇を噛む。

「ここは私に任せて先に行って。」突如ソフィーが決心したように言う。

「は?なんて?」竜太郎が聞き返す。

「リュウ一人ならこれくらいなんてことないでしょ?」ソフィーが無理やり笑顔を作る。

「だがそれじゃあ…」竜太郎俯く。

「私は大丈夫。だって私、呪いの子だから。」ソフィーは微笑む。

竜太郎は無言で俯く。


「わかった。あとで絶対合流だ。」竜太郎は少し悩んだあと言う。

「わかってる。」ソフィーが力強く頷く。

「無理するなよ?怪我とかしたら許さないからな?」

「無茶言うね、大丈夫。私を信じて。」ソフィーは竜太郎の手を握る。

二人は力強く頷きあうと、竜太郎は四天王のいる方へ突進する。


「マジかよ!味方捨ててくるのかよ!」奥から驚いたような声が聞こえる。

「捨ててねえよ!二手に別れただけだ!」竜太郎は雑兵を一直線に切り捨てながら進む。

ガレットも兵士を大勢出しながらさらに奥へと逃れていった。


竜太郎が離れたのを確認するとソフィーは静かに眼を閉じた。


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