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25.未来視vs耐久力

「マグネス?」私はなんとなく嫌な予感がする。

だが、助けに行くこともできないので私はマグネスを信じて先に進むことにした。


私は目の前に現れた扉をゆっくり開ける。柱がたくさんある部屋だ。私は警戒しつつ一歩踏み出す。そして足元に違和感を感じ下を向いた瞬間、足元が大爆発を起こす。罠だ。 

私は吹っ飛ばされて壁に勢いよくぶつかる。そして床に落ちた時、またしても床が爆発する。

私は再び吹き飛ばされる。

「こんなピンポイントで罠を仕掛けるなんて、数学者か何か?」私はゆっくりと立ち上がる。


「ようこそ。死の入り口に。」後ろから若い男の声が聞こえる。

「あなたは?」私は身構える。

「私の名は魔王教団四天王の一人。星読みのシェリング。以後お見知り置きを。」男は自己紹介すると同時に私が撃った炎魔術をかわす。


「おっと、小賢しい奇襲は見えていましたよ。本当に小賢しい。」シェリングは不服そうな顔をする。

「罠使うような奴に小賢しいとか言われたくないんだけど?」私も不服なので反論する。

「まあいい。どちらにせよ大義のために貴様は倒さねばならん。」シェリングはそう言って私が入ってきた扉のドアの部をねじりドアを閉めてしまう。

「この部屋には、この扉ひとつしかない。あなたはもう逃げられない。どうです?」シェリングは笑う。

「どうですって言われても、困ったなとは思ってるけど…」私は苦笑いする。

「そうか。ならばさらに絶望させてやろう。お前は短剣を投げようとしたな?」男に指摘されたハッとする。

袖に仕込んだ短剣なので動作で見破られる可能性は低い。なのにどうしてバレたのか。私は不思議に思う。

そんな私を見ながら男は自分の右目を見開く。

「私は未来が見える。全てお見通しだ。」男は不気味に光る目を私に見せる。

「本当?じゃんけんしよ!」私が言った瞬間相手はチョキを出す。私はパーを出すつもりだった。

「本当みたいね。」私は呟く。

「さて、お前はさっさと片付けて、オルテスの相手をしていた奴にとどめを刺してやろう。まずはお前をささっと片付ける。」シェリングは私を指差す。

「私だって未来が見えるわよ?。」私の言葉に彼は不思議そうに言う。

「魔眼もなしに何が見えるんだ?」シェリングは呆れたように言う。

「見えるわよ。恐ろしい泥仕合になるわ。」

「?」シェリングはさらに不思議そうに首を傾げた。


・・・・・・・・


「当たらんな。未来が見えている私にその攻撃は当たらん。だいたいそんなにトロい攻撃など、未来を見なくとも余裕でかわせる。」シェリングは勝ち誇ったように言う。

「うるさい…わね。動きが鈍くてスタミナもなくて悪かったわね!」私は中腰になり息を切らせながら言う。

「それでは器を助けることはできない。そうだ、逃げてもいいんだぞ?」シェリングは勝利を確信し煽り始める。

「あんたがドアノブひねったから逃げられないでしょ?」私は彼を睨む。

「そうだったそうだった。だがまあ、これ以上遊んでいる暇もない。死ね。」彼はそう言うと自身の周りに無数の光弾を作り出し私に撃ち込む。


だが、煙の中からバテた私が無傷で出てきたことに困惑する。

「外したか?」シェリングは不思議そうに言う。未来予知の力で完璧な偏差撃ちをしたはずだったのだが、なぜかダメージはなさそうだ。しかし、服が少し焦げているのを見るに当たったのは当たったのだろう。防具の質が良かったのか。きっとそうだ。彼は無理やり納得した。 

そんなことを考えていると、相手が魔術を撃ってくるのが見えたのですぐにかわす。


「ほう、やっぱり撃つ前に避けてる。未来が見えてるのは本当なんだね。」私は感心する。

「視えている。全てな。」シェリングはドヤ顔で言う。


そこから数分間私たちは魔術を撃ち合う。だが、魔力量も魔術の威力もシェリングが上だ。私は喰らってもノーダメージだからなんとか耐えられているが、普通なら私の完敗と言っていい。私の攻撃はかすりもしない。未来が見えるとはここまで厄介なのかと呆れる。

だが、一発でも当てないことには始まらない。一発でいいのだ。相手の裏の裏をかき起点になる一発を叩き込むのだ。

私は習ったばかりの古代魔術を発動する。手のひらに火の玉を生成してシェリングに狙いを定める。

「1、2、3」私は三つ数えて火球を撃ち出す。当然避けられる。


「1、2、3、4」私は四つ数えてから再び火球を発射する。

それを難なく避けたシェリングは不思議そう私を見る。

「なんのつもりだ?」彼は尋ねる。

「攻撃してるのよ。」

「当たるわけがない。」


「1、2、3、4、5」次の火球も避けられる。

「1、2、3、4、5、6」次の攻撃も避けられた。

「1、2、3、4、5、6、7」次の攻撃も避けられる。


「諦めたのか?魔力の無駄だ。」シェリングは呆れる。

「どうかしら?」私はそう言うと次の火球を掌に生成する。

「1、2、3、4、5、6!」私は6で火球を発射するが、すでにフェイントを予想していたのかシェリングは当たらないようひらりと横に移動するが、途中でハッとしたように移動をやめてしまった。

火球はシェリングの目の前で霧散する。

「なんのつもりだ?」シェリングは重ねて問う。

「魔力切れ。無駄撃ちしすぎた。」私は項垂れる。

「だから言ったのだ。」シェリングは呆れる。

「それに、未来が見える私にとってカウントで油断を誘い少し早く発射するなどという浅いフェイントは効かん。」シェリングは魔眼を見開く。

「ダメね。魔術が当たらないどころか魔力切れ。打つ手なしね。」私はため息をつく。

「愚かな。」彼は哀れみの目で私を見る。

「だったら物理で殴るわ!」私は拳を突き出す。

「もっと愚か。」シェリンングは呆れるばかりだった。

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