表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
108/137

24.性格の悪い能力

「こっちの方が近いです!」レオンに先導されベルを背負った竜太郎と少し遅れてソフィーが続く。

「?!」竜太郎は何かに勘づき進路を変える。その瞬間横で爆発が起こる。

「躱しましたね?」屋根の上にいた男が残念そうに言う。

「ベル、怪我はないか?」竜太郎の言葉にベルは頷く。

「おや、無視とは傷つきますね。」男はそう言うと屋根から降りてくる。

「お前は後回しだ。」竜太郎はそう言いながらレオンにベルを預ける。

「ここは俺が食い止める。頼んだぞ。」

「はい。わかりました。」レオンはそう言うと心配そうな顔をするベルを背負って走り出す。

ソフィーも竜太郎を激励しつつそれに続く。

「さあ、舞台が整いましたね。ゆっくりと…」まで言ったところでいきなり距離を詰めてきた竜太郎に胴を袈裟斬りにされ倒れ込む。

「あいにく時間ないんだよ。」竜太郎は剣をしまおうとする。

「忙しいアピールは嫌われるぞ?」倒したはずの男はそう言って起き上がる。

「は?」竜太郎は困惑する。

「全く、これだから雇った奴らには忠誠心がない。俺は再三警告した。上が無能だと困るよな?」男はゆっくりと立ち上がる。

「何言ってんだお前?」竜太郎は再び剣を構える。

「あの二人、腕は確かだが使命感に欠ける。まあ仕方ない。俺がまとめて処分する。安心しろ。俺の部下がガキを確保しに行ってる。それまでここで遊んでようぜ。」男はそう言うと6本の短剣を爪のように出して襲いかかってきた。

「速いな!さっきのはわざと避けなかったのか?」竜太郎は

攻撃を剣で受け止めながら尋ねる。

「いやいや、いきなりすぎてマジで反応できなかっただけだぞ。」男は愉快そうに言う。

「それに今ぶった斬ったのになんでそんなにピンピンしてんだ?」竜太郎は男を睨む。

「いいぜ。俺は親切だから種明かししてやるよ。」男はそう言いながら竜太郎の後ろを指差す。

敵意は感じない。警戒しつつ竜太郎は後ろを見て動揺する。

さっき男を斬った時と同じ傷がある男が倒れていた。

「お前…」竜太郎は絶句する。

「ああ。俺は優しいからな。傷を周りの人間にお裾分けしてやってるんだ。褒めてくれていいんだぜ?」男は笑う。

「クソ…外道か?」竜太郎は男を睨む。」

「勘弁してくれ。俺だって痛いんだぞ?」男は先ほど斬られたはずの部分を撫でる。

「なるほど。痛いのか。」竜太郎はほくそ笑む。

「何か言ったか?」男は不思議がる。



「っていうか、お前最初に会った時とキャラ変わってないか?」竜太郎は話を逸らす。

男は鼻で笑うだけだった。


・・・・・・・


「さあさあ!攻撃できんのかお前?お前が攻撃すれば無関係の人間が傷つくけどな?」男は愉快そうに攻撃を仕掛けてくる。

流石の竜太郎も防戦一方だ。

「だがこれならどうだ?必殺!徳島鳴門大渦潮!!!」複数の渦が発生し周囲の家屋を破壊する。

「おいおい!お前は大怪獣か?」いきなり街を吹き飛ばし始めた竜太郎に男はドン引きする。

そこで竜太郎は攻撃を止める。

「お前マジで何がしたいんだ?」男は呆れる。

「さあ、来ないのか?」竜太郎は挑発する。

「妙だな、街を破壊することに何か意味があるとも思えんが…まあいい。ゆっくり遊ぼう。」男はそう言うと再び竜太郎に飛びかかった。




一方マグネスはかなりきつかった。戦闘に関してはマグネスの方が秀でているが、戦闘不能にしても相手はすぐ回復して復帰してくる。だからといって簡単に命を絶てるほど弱くはない。

一撃では倒せない上に二撃目の前に回復されてしまう。さらに、魔術が不得手のマグネスにとって状況に応じて変わる戦闘力バフへの対応も難しい。

(イリーナ、早く穴から出てきてくれないかな。)マグネスはそう思いながら戦っていた。


一方の私はなんとか穴から這い出ようと頑張っていると、上から轟音が鳴り始め人々が避難を始めた。

今の迷宮都市は2回のギルド倒壊とインフレに伴う情勢不安により人々の非難に対する意識は最高潮に達していた。

訓練された迷宮都市民は迅速に避難する。皆体力があるので逃げ遅れなどいない。これにより私は誰からも助けてもらえなくなり自力で脱出するしかなくなった。早くマグネスの支援に向かわなければいけないのにとジタバタするが全く出れない。どうしたものかと私はため息をついた。

するといきなり斬られたような感覚がある。切れたわけでも痛いわけでもないが、斬られたと言うのはわかる。

まただ。今度は腕を斬られた感覚がある。次は腹を刺された感覚だ。何が起こっているのか。あの大柄な男の攻撃なのか?私は考える。

妙だが、別に痛かったり負傷するわけではないのでこそばいのを我慢して穴からの脱出を再開することにした。



竜太郎は男の肩に剣を振り下ろす。

「おいおい、もう周りの人間はどうでもいいのか?」男は煽ってくる。

「お前が傷を押し付けてるんだから俺は悪くねえよ。」竜太郎は鼻で笑うと胴体を真っ二つにする勢いで斬りつける。

「マジかよ!倫理観…」男がドン引いた瞬間剣の鞘を横に投げる。

男は一瞬だけその鞘に注意がいってしまった。その瞬間竜太郎は一気に懐に入って男に強烈なアッパーカットを喰らわせる。

男は上に吹っ飛び地面に転がる。痛そうに起き上がると顎を何度か動かしてから立ち上がる。

「なんでだ?殴るだけなら誰も死なないと思ったか?」男は尋ねる。

「まあな。」竜太郎ははぐらかす。

「解せんな。何がやりたい?」男は顎をさすりながら尋ねる。

「お前を倒したいだけだ。」竜太郎は剣を構える。

「いいぜ。いくらでも時間稼いでやるから。」男はニンマリと笑った。


その頃。

穴の中でもがいていた私はいきなり顎に突き上げるような衝撃を感じそのまま上方に打ち上げられる。穴からすっぽ抜けて地面に転がる。

「出れた?」私は不思議に思いながら次の手を考えることにした。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ