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24.ボクは魔王の孫

私たちは迷宮都市へ続くはずの道を進む。あたりは真っ暗だが、別にこの五人にとって怖いことではないので関係なく進む。

「ん?」私は顔を上げる。

「どうした?」マグネスが尋ねる。

「なんか子供の声聞こえない?」私はそう言いながら辺りを見回す。

「そんなホラーなこと言うなよ。」竜太郎が文句を言う。

「いや、静かにしてみて。」私は静かにしろとジェスチャーを送る。


「確かになんか聞こえるな。」マグネスが言うとソフィーも頷く。

「こっちの方から聞こえます!」レオンがそっちへ歩いていく。

「ちょっと!レオン一人で行くのは危ない!」私は岩の裏を見て固まっているレオンに駆け寄る。そしてレオンに追いつくとレオンが見ている岩の裏を見て私は驚く。

小さな男の子が震えていたのだ。

「子供?」私はつぶやいた。


「どうしたの?大丈夫?」

「どこから来たの?お父さんやお母さんは?」

「なんでここにいるの?」私たちの中で人当たりの良いレオンとソフィーが男の子から事情を聞き出す。残りの子供を泣かせそうな三人は後ろでじっとしていた。

「心外ね。」私はつぶやいた。


「えっと、つまりボクは魔王の孫なんです。」少年は真面目な顔で言う。

「ですってソフィーさん。」

「ですってって言われてもなぁ…」


「どうだった?」いきなりヌッと現れた巨漢マグネスに少年は固まる。

「大丈夫だよ!このおじさんデカくて棺桶担いでて辛気臭いけど結構ノリ良くて良い人だから!」レオンが少年の頭を撫でながら宥める。

「…」マグネスはなんとも言えない顔になる。


「それが、この子どこから来たのかなぜここに来たのか、自分の名前も覚えてないみたいなんです。」ソフィーが困ったように言う。

「でも、自分は魔王の孫なんだって言い張るんです。」レオンも困っている。

「つまり、何も記憶がないのに自分が魔王の孫であることは理解していると?」私の質問にレオンとソフィーは頷く。

「なんか面倒ね。親の元へ返すにしても返しようがないし、育てるのも面倒だし。見なかったことにしない?」

「とんでもねえこと言うな!」私の提案に竜太郎が怒鳴る。

「え〜。」

「えーじゃない!これだから冒険者は。」竜太郎がぶつぶつ言う。


「でもボク本当に魔王の孫なんです。」男の子はそう言い張る。

「魔王?誰それ?」私は首を傾げる。

「でも、リュウは最初に会った時魔王探してたよね?」ソフィーが竜太郎の方を見る。

「まあ、いると思ってたんだよ。いなかったけど。普通に考えて異世界転生したら魔王いるだろ普通。なんでいないんだよ…」竜太郎がぶつぶつ言う。

「もうずっと魔王探してたよね。行く先々で魔王はどこだ!って…」ソフィーが懐かしそうに言う。

「ねえ、もうその話やめない?」竜太郎は俯く。


「魔王なんて大昔の話だよな。」マグネスは唸る。

「まあ、嘘でしょうね。」レオンが頷く。

「そういう年頃なのかもね。まあ、ここに置いとくのもかわいそうだし連れて行こうか。」私は仕方なくそう言った。

こうして自称魔王の孫の少年を加えた六人は迷宮都市に向かうことになった。

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