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【完結】御伽学園戦闘病  作者: はんぺソ。
第五章「黄泉の王国」
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第九十三話

挿絵(By みてみん)

御伽学園戦闘病

第九十三話「I」


『I』の七人は無理をせず堅実に進むことにした。荒廃熱帯夜地帯を抜け花園を抜けそのまま城に入るというルートで向かう事に決めていたので安全に丘を降りて荒廃熱帯夜地帯へと向かう、まだ朝日は出ておらず暗いままだ。


「気をつけえや、結構急な坂になっとるでー」


礁蔽はそう言いながらヒョイヒョイと降りていく。少し遠くには他のチームも居て競う形になっているが無視してゆっくりと降りていく、適度に雑談を挟みながら歩を進める。そろそろ丘を抜け出し荒廃熱帯夜地帯へと突入する、全員大した熱さではないだろうと油断していた。

荒廃熱帯夜地帯に入って五分が経った、すると急激に全員汗をかき始める。ラックや紫苑は学ランを脱ぎ素戔嗚も少しだけ帯を緩めた。礁蔽は作業服が災いし滅茶苦茶に熱い、このまま進んでいると礁蔽だけではなく全員倒れてしまう。


「なんか涼しくなれないんか〜」


「私にはそんな術ないよ」


「逆に俺らにあると思うのか」


ラックがそう言うと礁蔽はため息をついた。ただあと一時間程で日は上がり地図の名の通りならば熱いのは解消されるだろう、だが一時間も耐えられるかどうかだ。どうにか早めに対策案を出さなくては倒れてしまう、何かないかと探していると菊、フェリア、叉儺のチームを見つけた。菊なら何か冷たい動物を連れて来れないかと思い近付いていく。


「菊〜熱すぎる〜」


「ん?礁蔽か。熱いのはこっちも同じなんだが」


「菊ならなんか冷たい動物とか連れて来れないんか〜」


「そもそも黄泉の国(こっち)に連れて来れねえんだよ」


礁蔽はガッカリして戻っていった。ただ菊達もこのままだと倒れてしまうのでここの気候に詳しいであろうフェリアに何か策はないか聞いてみるとフェリアは少し考えてから何かを思い出した様にいい案を思いついたと言う。菊はすぐに聞くがフェリアは『I』のメンバーも連れて行こうと言うので仕方なくこちらに呼ぶ。七人は何か解決策があるのだろうかと目を輝かせながら近づいてきた。そしてフェリアは地図を見せながら説明する。


「今すぐ東方面へ向かえば体力が少し余っている中港まで行けます。最悪港町まで行って朝食を済ませればいいですし皆さんで東に行って夜が明けるまで待ちませんか?今の季節なら七時まで日は上がってきませんし」


「七時までか…そんなら港行ったほうがええな」


礁蔽も賛同し他のメンバーにも聞くが全員異論は無い、菊と叉儺もこの熱さではやっていけないと一度港へ避難する事にした。

ただ距離としては一キロメートルは確実にある、となると早めに移動しなくては道中で倒れてしまう。結局は何か移動手段がなければいけないのだ、そんな中菊が口を開く


「しょうがねえな、ここで使うのは勿体無い気がするが…やるぞ」


そう言うと模擬戦の時に出てきた小さな黒い狐が現れた、菊はそれに続けて唱える


『高齢術・唱・黒九尾』


すると模擬戦の時と同じ様に見た目が変わる、そして菊は「移動」と言うと黒九尾は頷きあの祝詞を唱え始めた。


女神(にょじん)に仕えし霊が一匹黒九尾 我が名は黑焦狐(ゴクショウコ) 姫君の名は松葉菊 其方(そなた)の記を辿り()無しとあれば力を頂戴致したい 欲するは死 与えるは霊魂 力戴く女神(にょじん)の名こそ佐久間奏多(さくまかなたひめ) 我の力を信じよ 女神(にょじん)の血を引く姫名(きめい)の下に (おん)超えし速を与えたまえ』


菊は狐にしっかり掴まって乗れと言って口の中に入っていった。他のメンバーは尻尾の中に入ったりお腹の部分に掴まったりする、狐は全員乗った事を確認すると走り出した。そして三秒すると止まる、何か物凄いスピードで移動したのは分かるがなんと港まで着いていた。菊は口の中から出てお礼を言うと狐は消えていった。


「よし。じゃあ休憩だ」


「なんだ今の…」


紫苑が驚いていると菊は術だとしか答えない。菊は昔からこの系統の術を使っても詳細は語らなかった、なので誰も気にする事なく港に着いた事を喜ぶ。あの熱い地帯を抜け涼しい港に来た事で寒暖差が激しく久々にこんな体験をした來花は少しぐったりしている。

來花のこともあるし港町へ行こうと言う事になった、十人で楽しく港町へ向かっている中灼達『VII』は既に宮殿入り口まで到着していた。そして侵入しようとした瞬間服が変わる。その服はフェリアが着ている制服だ、そしてエンマの声が脳内に響く



内通者にこの国の学校の生徒が見学に来ているって伝えてあるからその設定でよろしく



灼達は少しだけ話し合ってから宮殿へと潜入を始めた。ただエンマから政治を乗っ取ったフラッグがそんな見え見えの嘘に騙されるわけがなかった、これから灼達は苦痛を強いられる事になるとは思ってもいなかった。



第九十三話『I』

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