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【完結】御伽学園戦闘病  作者: はんぺソ。
第五章「黄泉の王国」
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第八十八話

御伽学園戦闘病

第八十八話「第九陣」


美久が霊を召喚したところで戦闘が開始された。須野昌が単独で突っ込む。エンマは触手を使って対応しようとしたが何故か触手が動かない、振り向くと触手が束のようにまとめられていて動かすことができない。すぐに須野昌の霊にやられているのだろうと理解した、だが今は須野昌の方をやらなくてはいけないので再び正面を向いて須野昌との肉弾戦を試みる。


「ばーか」


須野昌は急に足を止めそう言った。エンマは何を意図して馬鹿にしてきたのかわからなかったが何かあるのだろうと周りを見てみる、だが何か変な反応などは全くなくもう一度須野昌の方を確認する。だが須野昌はやはり何かありそうな顔をして立ち止まっている。痺れを切らしたエンマは須野昌に向かって攻撃しようとした、その瞬間後ろから霊の反応がする。すぐに振り向き殴ろうとしたがすり抜けた。


「半霊、あなたなら分かるでしょう」


「なんだ、そんな事か」


エンマはそう言っているが実際は少しだけ焦っている、なぜならエンマは自分自身を強くするような能力しかもっていないので半霊に対してなす術がないのだ。佐須魔の能力を吸収したが霊は吸収できずあくまで器という情報しか吸収できないので霊を召喚することは不可能なのだ。


「やるぞ相棒!」


美久が戦闘に参加したので須野昌の霊は触手を離し普通に戦う、須野昌は自分自身でも戦えるのでエンマに突っ込む。美久はあまり離れすぎない程度に後ろに下がった。エンマは同時に三方向からの攻撃を対処しなくてはいけないと知ると少し面倒くさそうにしながら笑って触手達に指示を出す。


「分離だ。君達は霊を、僕は須野昌君を倒す」


すると背中から生えていた触手が(うごめ)く、そして背中から外れて二体のタコになった。タコ達はそれぞれ二本だけ触手を使っていたのだ、エンマは外れたことを確認すると足をチーターに変え四足歩行で須野昌に突っ込む。須野昌は滅茶苦茶速いが冷静に見切って避けた。これも普段から兆波や薫が手加減をしないおかげだ。


「やるねぇ」


エンマはすぐにUターンして再び突っ込む、須野昌は突っ込まれそうなところギリギリで逆ジャンプして突っ込みエンマを踏み台にして更にジャンプして回避した。だが今回のはまぐれだったらしく冷や汗をかき鼓動が早くなっている、エンマは次で終わりだなと思って再度攻撃を行った。だが須野昌は確実に実力で交わした。エンマは嫌な予感がしたのでさっさと片をつけようと更にスピードを上げた、だが須野昌はそれすらも交わしてしまう。


「やっちゃったな」


エンマは手足を元に戻し二足歩行に戻った、もうスピードじゃ勝てないと察して。そして確認するため須野昌の右目を見てみるとやはり燃えている。それは比喩表現などでない、しっかいりと炎が発生しているのだ。赤い炎が燃え上がっている。


「やっぱり遠征の時のはまぐれじゃなかったんだね…それが覚醒だよ須野昌君。その時出せる本気を出している時には右目か左目、または両目に炎が出るんだ。カッコいいだろう?彼女が作ったらしいよ、その炎の演出。そして炎は三種類ある、一つが『赤眼(セキガン)』一番弱く最も一般的な色だ。そして『碧眼(ヘキガン)』覚醒者の中でも数%しか存在しない強者の色。最後に『菫眼(キンガン)』世界に数人しかいないらしい、他の二つとは訳が違って滅茶苦茶に強くなるらしい、噂によると180%を出せるとか出せないとか…」


「ごちゃごちゃうるっせんだよ!」


折角楽しくなっているのにペラペラと説明をされた須野昌はキレて突撃する。エンマはそれを軽々交わすはずだった、だが勢いが凄まじく避けられずに打撃をくらった。だが火力自体はいつもの須野昌だったのでさっきまでの拳との戦闘のせいかエンマは全く痛いと感じなかった。

その時TISの部屋では三獄の二人が舞い上がっていた、來花も珍しくテンションが上がっている。


「すげえ!炎でてるぞ來花!」


「あぁ、すごいな!あの歳であそこまで力を出せるとは!」


舞い上がっている二人に水を刺すようで申し訳なさそうだが半田がある質問をする。


「それってそんな凄いことなのか?」


「あぁ!半田は擬似だったがあれの倍で覚醒の一段階目、そして更にパワーアップして現状の最強状態。100%を引き出せた状態があれだ!99%以下とと100%では大きな差がある、そして100%に行けば覚醒効果も確実なものとなる。彼の覚醒効果が何か気になって仕方ないよ!」


そう、佐須魔が言った通り須野昌の覚醒効果がまだ発揮されていなかったのだ。大当たりは遠征時の蒼のような覚醒時に扱える覚醒能力だ。ただ蒼の場合はエンマが無理矢理引き出したものなので対して上手く扱えていなかった、だが須野昌は自分自身で引き出したため覚醒能力だった場合完璧に使いこなせるだろう。

そして肝心な須野昌の覚醒効果は大当たりの『覚醒能力』だ。マモリビトのエンマはそれが分かるのでそれを伝える


「僕はマモリビトとして伝えよう。君には今覚醒時のみに使える覚醒能力が与えられている!どんな能力かまではわからないが使って見るといいよ!」


エンマはそう言って距離とり攻撃の手を止めた。須野昌も気になったので使ってみることにした、霊を出す時の感覚と同じだと言われたので普段やっている霊を出すように全身に少しずつ霊力を流す。そしてそれを能力を発動させると念じながら一気に解放した、すると須野昌の目の前に何かができた感覚がした。恐る恐る触れてみるとそこには透明の壁があった、須野昌は大きさや強度は変えられるのか試してみるとそれも自由自在に変えることができることに気付いた。ならどこまで離れている場所に生成できるか試してみることにした、ただ壁は霊力を帯びていないため完全に自分で位置を覚えなきゃ行けない。だが遠くに生成したら本当に生成されているかわからないため20mほど離れている円もの足元に生成してみる、するとエンマは何かに弾かれるようにつまずいだ。その動作で生成できることは確認した、ならばもっと遠くにと視界ギリギリの木に向かって生成する。するとエンマと同じように弾かれたような感じで木が折れた、次に視界に入らない場所に適当に生成しようとしたが音が全くしなかったため範囲は視界内だということも確認できた。

そこでもういいぜと言い戦闘を開始することにした、エンマは何があっても冷静に対処できるように少しだけスピードを落として突っ込む。須野昌は自分の少し前に高さ30mはある壁をイメージして力を発動した。エンマはそんなことわからないので壁に衝突した、そして何かがいるのかと警戒するが何もいないことを察知して手を動かして何かあるのか確認する。そして透明の壁があることを察知して能力が『透明の壁を生成する』ということを理解した。


「すごく扱いづらいはずだが君の霊も透明だから透明の扱いは慣れているだろう。よかったじゃないか、大当たりだ」


「そりゃありがとうな!」


須野昌はエンマの腹部の辺りに壁を生成した、するとエンマは押し出されるように移動したのでそこに壁を生成するという方法でエンマの動きを封じた。エンマは抜け出そうと試みるが行動が速すぎて抜けられない、だが覚醒中の須野昌からしたらこれが普通のスピードならのだろう。エンマはこのままされるがままだと本当に負けてしまうかもしれないと考え少しセコいことをして須野昌を倒すことにした。


「そんなんでよく護ってこれたな!」


そう煽る須野昌を見つめながらエンマは「じゃあ僕も」と言ってある演出を施した。それは右目に擬似覚醒の時にでる火花を散らすという演出だ、だが実際は擬似覚醒はしていない。ただ須野昌はそれを本当に擬似覚醒ですぐに覚醒すると思い込んでしまった、流石に相手が覚醒したら負けてしまうと須野昌は焦って変なところに壁を生成してしまった。その一瞬の隙をついてエンマは須野昌に突っ込む、須野昌はすぐに壁を立てて安心するがエンマは壁を触れてその触れた指を舐めた。するとその瞬間エンマは姿を消した、須野昌は瞬時に壁の素材を吸収され空気になったように壁になっているんだと思い壁から離れる。その予想は当たっていてエンマは感心しながら壁を越えた場所で元の場所に戻る


「お見事。だけどちょっとだけ遅かったね、敗北の原因は調子に乗りすぎと単純な練習不足だ。二つ目に関してはしょうがないけどね」


エンマはそう言って指を鳴らした、その瞬間須野昌は血を吐いた。そして心臓部に違和感を感じたので見てみると体内からカジキの角が体から出てきていたのだ。どうやら壁になった瞬間に髪の一本を空気に変えその空気を須野昌が飲み空気が心臓部に来たところでカジキに変えたらしい。須野昌はまだやれると動こうとしたがエンマは再び指を鳴らす、すると須野昌の体に激痛が走る。カジキは角だけだったのだがそれをやめて全身生成したらしい、当然体は耐えられず骨をも貫通して須野昌の体をこんなにも酷い状態にしたのだ。須野昌は息をしているが座り込んだ、ただ炎は消えていない。

一方美久は須野昌の霊が消えたことで半霊一匹で強力なタコを二匹相手にしなくていけなくなりさっきもギリギリだったのでやばいと感じ妖術を発動する


妖術・三連爪(ようじゅつ・さんれんそう)


その術は狐霊だけが使える術で爪が非常に鋭利になるのでそれを利用して三回引っ掻く術だ、なぜ三回なのかは未だに判明していない。ただ三回でも十分過ぎるほどの力が出るので誰も気にしていなかった。

そして半霊は爪で一匹を狙って三回引っ掻いた、タコは一本触手を切り落とされたがそれ以外の損傷はなかった。なので二匹で本体の美久を攻撃しようとしたその瞬間とても大きな生命体が二匹近づいてきてそのタコを二匹とも吹っ飛ばした。その生命体とは太鼓に絶命したとされているプテラノドンだ。


「なんでプテラノドンが!?」


「すいません!どれだけ頑張ってもこの子達しかいませんでした!」


連れてきたのは漆だ。漆は動物達がいないと攻撃できないので探していたのだ、そして見つけ出したのは恐竜だ。だが死んだもの達がここに来るので存在していてもおかしくはないと結論づけることにして気にしないことにした、そして漆はプテラノドンに命令を出して飛び降りた。美久も狐にエンマを攻撃するよう命じて後ろに下がる。だがエンマはこういう


「須野昌君を早く治療してあげたいから悪いけど終わらせるよ」


そう言って指を鳴らした。その瞬間二人の首元にさっき吹っ飛ばしたはずのタコ達が現れ頸動脈を絞め始めた。二人はどうにかして逃げようとするが力が強すぎて抵抗できずに呆気なく気絶してしまった、そして終わりだと判断してフェリアの方を向く。だがフェリアは何も言わずエンマの方を見つめるだけだ。


「どうしたんだい?僕の勝ちじゃないか」


フェリアは黙ってにっこりと笑った、その瞬間エンマの首にある物が貫通する。それはカジキの角だった。すぐに振り向くと血だらけの須野昌が笑いながら立っている


「心配してくれてありがとうよ!それがお前の敗因だ!」


なんと須野昌は体からカジキを引き抜きエンマに突き刺したのだ。だがエンマはすぐにそのカジキを元の髪に変更した、だが傷は消えない。

よく見てみると須野昌の炎はまだ消えていない。だがエンマは何もしなかった、須野昌はトドメを刺そうと拳を振り上げあた瞬間体がいうことを聞かなくなり気絶した。


「無茶をしすぎだ」


そう言いながらエンマは喉の穴を適当に髪の毛でを喉の欠けた部位に変え穴を埋めた。そして今度こそフェリアはエンマの勝ちだという、すぐ莉子が回収して中立陣部屋に送った。漆と美久は十秒で終わったが須野昌の傷は相当大きく二分ほどかかってしまった。だが完治した、三人は部屋へ戻った。


「帰ったぞ」


「お疲れ様。傷はいいのか?」


香奈美が心配するが全員完治したと伝えテレビの近くに座って次の戦闘を待つ。ただ水葉と香奈美は次は自分がやるだろうと残りのメンバーから推測してわかっていた。だが一様違うかもしれないので待つ、その時に水葉があることを思い出す


「そういえば私もあの炎出たことあるかも」


「何!?」


驚くラックを落ち着かせてから説明する。発動したのは水葉が中等部二年生の時だった、その当時は薫に体術の訓練を受けていた期間で本当に死にそうになっていた。そしてある日唐突に力が増したことがあったらしい、その時は気にしていなかったが後に薫から覚醒していたと伝えられたらしい。ただ当時は覚醒とはただの過集中のようなものだと思っていたらしく今のいままで忘れていたらしい。ただ眼の色は覚えていないそうだ、そして懸命に記憶を辿ると覚醒する前に女性の声が聞こえていたらしい。


「なら仮想の方からの覚醒か?」


ラックの質問に時間をかけて回答した。水葉曰くあの女の声ではなかったらしい、だが二年前のことで詳しく覚えようともしていなかったのでもしかしたらあの女かもしれないと一応保険はかけた。

ラックは「あいつは声とか変えれるからあいつの可能性が高い」と言って勝手に納得していた。そして話が終わると同時に第十陣のメンバーが転送された。

姫乃姉妹の予想は的中した。テレビに映し出された第十陣の三人の名は[姫乃 香奈美][姫乃 水葉]、そして[和也 蒼]だ。



第八十八話「第九陣」

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