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【完結】御伽学園戦闘病  作者: はんぺソ。
第四章「別世界へと」
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第七十話

御伽学園戦闘病

第七十話「絶妙に悪い相性」


[紫苑視点]


二人は住宅街へ突入した、そして家が壊れていたりするのを見て住宅街での戦闘は終わっていると確信した。二人は戦闘の後がある場所から少し離れた場所で立ち止まる。

周囲がどうなっているかを少し確認してからそこで戦闘をする事に決まった。


「じゃあここでやろう、あんまり遠く行かないでね」


「あぁいいぜ。まあ万が一遠くへ逃げようとしても無理だろうけどな」


「分かってんじゃん」


二人は深呼吸をしてから向かい合う。そして美琴が口を動かした瞬間戦闘が始まった、紫苑は呪いを撃たせては勝ち目はないと速攻を仕掛ける。リアトリスを使いたいところだが十五分程前まで戦っていなので霊力がそこまで残っていない、となれば己の体術でねじ伏せるまでだ。

紫苑は足を振り上げる、美琴は引かずに呪いを放つ


呪・剣進(のろい・けんしん)


そう言ってから少し後ろに避ける、そして現れた二本の剣が紫苑に向かって前進する。紫苑は美琴に向けていた足を片方の剣にぶつけた、もう一つの剣は間一髪で避ける。そして後ろに引いた美琴に攻撃しようとした瞬間リアトリスが(ひと)りでに飛び出し再び向かってきている剣を墜落させる、剣は避けたはずなのに追尾して来ていた。


「サンキュー!」


背後をリアトリスに任せて美琴に近づく、そのまま腹部を殴った。美琴は軽いので相当な距離吹っ飛び生垣を貫通した。紫苑は追撃を入れようと止まらず走る、美琴は向かってくる紫苑に対して二つの呪いを放つ


『呪・剣進』

呪・封(のろい・ふう)


封のおかげでリアトリスは出てこれが紫苑はその事を知らないはず、ならば確実に剣が当たって致命傷になるだろう。

剣が勢いづいて紫苑に飛んでいく、紫苑は軽々と交わし背後への追尾はリアトリスに任せる。だがリアトリスが出てくることは無い、紫苑はそれに気付いておらず美琴は上手く行ったと少し口角を上げた。

その行動を見て何か作戦のようなものがあるのだろうと足を止め周囲を見渡す、そして剣が近づいて来ているのが視界の端に映った。リアトリスが出てこないのが分かり紫苑は自分で剣を落とした。


「クソっ」


「あんまり顔に出すとバレるぞ」


そう言いながら美琴に殴りかかる。美琴は当然回避行動を取るが紫苑は逃さず足を使って美琴を転ばせた。

そして勿論追撃をと殴ろうとした瞬間美琴が唱える


呪・自心像(のろい・じしんぞう)


紫苑はこの呪いの事をラックや礁蔽から聞いていた。恐らく個人によって力が変わる技だが最大限注意すべき呪いだという事を。

すぐに距離を取って何が起こるか観察する、だが何秒経っても何も起こらない。ただカマをかけに言っただけかと再び攻撃に戻ろうとした時目の前に人が唐突に現れる、紫苑は驚きながら後ろに下がり姿を確認する。

その人は中性的な顔立ちで服装は男物だ。そしてその人は一歩踏み出したと思ったら姿を消し一瞬で紫苑の目の前に移動して紫苑の腹を殴った。ある程度体重はあるはずの紫苑でさえも吹っ飛ぶ、受け身を取って顔を上げるともの凄い勢いで足を動かして走って来ているのが見える


「キモ!」


ガードをするが途轍もない衝撃に見舞われる。そして立て続けに攻撃され動く事も出来ずひたすらガードを続ける、そんな事をしていると美琴は次の呪いを放つ。


呪・雷吽(のろい・らいうん)


唱えると上空は雲一つないのにも関わらず雷が落ちてくる。紫苑はヤバいと自心像に殴られて吹っ飛び回避したと思ったが雷は九十度に曲がり雷とは思えない挙動で紫苑に直撃する、服は所々チリチリになり体全体が火傷する。


「追尾多すぎだろ」


「当たるか分かんない高火力より確実に当たる低火力を連発した方が強いんだよ」


そんな会話をしているうちにも自心像が気持ち悪い足取りで近付いてくる、紫苑はある事を思い立つ。あの雷は呪いで発生させたのだから勿論霊力がこもっているだろう、ならばこの自心像に当てればダメージが入るのではないか。そう考えたらやれる様な気がしてガードを続行する。

美琴は再び雷吽を発生させた。紫苑は動かないで雷が降ってくるのを待つ、そして雷が紫苑に直撃すると予想通り自心像は感電し苦しむ。紫苑はひたすら力を込めて耐え自心像に電気を流しまくる、霊力がこもっているのでリアトリスに電気を流すのと同じ容量で電気を流すことが出来る。

美琴は何をしているか即突き止め自心像に離れるよう指示を出した。自心像は従って離れるが紫苑は絶対に離さないと引きずられながら電気を流し続ける、美琴は紫苑のその行動を止めるため呪いを放つ


呪・白鰱槍(のろい・はくれんそう)


美琴の体から一匹のハクレンという魚が飛び出す、そして紫苑にぶつかる。それだけかと紫苑は無視したが当然それだけではなくハクレンは口を開く、するとハクレンの口から槍が出て紫苑の脇腹に刺さった。

今更剥がそうとしても遅いと気にしない事にしたがハクレンはどんどん槍を出し刺していく、次第に臓器を貫通する。生きて来た中で五本指に入る程の痛みを感じ声にならない声を上げ脇腹を抑えながら自心像を離してしまった。だが自心像には相当のダメージが入った。


「今だ!」


美琴の視界がぐわんぐわんと揺れる。すぐにリアトリスに触れられたのだろうと分かるがいつの間にリアトリスが出て来たのか分からなかった。

紫苑が説明する。紫苑はまずリアトリスが出せるかどうかを何度も試していた、そして封の効果が切れた直後にリアトリスの霊力をゼロにして出す。すると霊力を頼りにしている美琴は当然リアトリスの姿を確認できない、だが確認できないのは紫苑も同じだ。だがリアトリスは全て紫苑に合わせてくれるので今回も合わせてくれるだろうとタイミングを待ち確実なタイミングで触れる事にしたのだ。


「もう立つのも厳しいだろ?」


「あんまりふざけないで」


立てなくとも美琴は自分自身では攻撃を行わないので大した事ではない。むしろ紫苑には隙が出来ている、その隙を突くように次の攻撃を行う


呪・蚕(のろい・さん)


美琴は人差し指を頑張って紫苑に向ける、すると指先から白いサラサラとした液体を発射した。それは自心像なんか比べ物にならない速さで弾丸のように紫苑の左腕を撃ち抜いた。腕を抑えていると異変に気付く、撃ち抜かれた場所から少しづつ白い(まゆ)のような物が生成されてく。紫苑は直感的にだがこれに侵食されたらまずいと感じ残っている時間が短い事に勘づく。

だが美琴を倒す前には自心像を倒さなければならない、自心像単体でも強いのにそれに加えて美琴の加勢攻撃もあるとなると短期決戦をしかけてもこちらが敗北する一方だ。どうにか勝つ方法はないかと模索して一つだけ勝つ方法がある事に気付いた。

それは身をていして行う特攻のようなもの、だが後何戦あろうが今ここで負けたら意味はない。ここで勝てば他のドームや中等部の厄介なやつと戦えるかもしれない。一番といっても差し支えない程強い美琴を排除するためドーム外で戦う事にしたのにここで負けてはメンバーに顔向できない、紫苑は腹を括り“ある物”を取り出す。

取り出した物とはそう、チョコだ



第七十話「絶妙に悪い相性」

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