第六十四話
御伽学園戦闘病
第六十四話「赤雪滴り」
[流&紫苑視点]
ひとまずの勝利を果たしたと互いに説明し、少し話し合った後住宅街は礁蔽も渡す事を取り決め雨林地帯へ向かう事とした。
その間二人は他愛もない会話を続ける、どうでもいい話に花を咲かせている内に話は逸れ、TISの話になった。
そして流はずっと引っかかていた事を訊ねる。
「僕の入団試験の時の竹山ってどれぐらい強かったの?」
「俺も詳しくは知らないが[上]らしいな。まぁ炎使えるだけでも下手な念能力者よりも強いからな」
「でも霊力は低かったのかな?まだ訓練もしてない、スペラとも逢ってない時でも僕より霊力が低かったぽいし」
「うーん、まぁ霊力はそこまでないだろうな。だって基地に敵が入ってきてるのにあんなちゃっちい攻撃ですます訳がない、しかも監禁していたような奴を攫おうとしてるのによ」
「そういえば今更なんだけどさ、僕ってなんで監禁されてたんだろう・・・」
「は?そんな記憶さえも消えちまってるのか?」
「うん・・・逆にだけど、なんで紫苑君たちは聞いてこないの?」
「暗黙的なルールなんだけどよ、外であったことは聞かない方がいいって言われてんだ。センシティブだからな・・・・・・でもまぁ俺の昔の事なら他に誰もいないし、流には言ってやっても良いぜ?」
「ほんと!?聞きたい!」
「おう。じゃあ雨林地帯までの暇つぶしだな」
少しだけ上を向いた紫苑はゆっくりと、非常に細かく過去の事を話し始めた。流はその話に耳を傾けつつも足は止めずに歩き続ける。
2001年 7月5日
幼き紫苑は路頭に迷っていた。どうにかゴミにある弁当やパン、何もない日は草などを食べて食い繋いでいた。だが放浪している内に、賑わう都を抜けいつの間にかスキーが出来てしまうほど雪が積る内陸県までやって来てしまっていた。
周囲に食えるような物は無く小さな野性動物を狩り生肉を貪る毎日だった。紫苑はまだリアトリスを見たことがなく、それどころか何故自分は昔からこんな生活をしているのかすら知らなかったのだ。
ただ少年ながらも人生は普通に暮らせる奴がいれば普通に暮らすことができない奴だっていると割り切って最底辺の生活をしていた。そんな紫苑に転機が訪れる。
ある日野性の狸を殺そうと追いかけ回していると誰かの足にぶつかる。もしや県や市の職員が捕まえに来たのではないかと思い、相手の顔も見ないですぐに走り出すがその人物は引き留める。
紫苑がぴたりと止まり、警戒しながら振り向くとそこにはただ幼な子を心配している女性が立っていた。恐らく敵でないと判断し、警戒しながらも話を聞こうとする。
だが女性は近づこうとして紫苑は再び逃げようとする。すると女性は反射的に謝って引き留め、紫苑なりの距離感を瞬時の把握して、それを保ちながら話をする事にした。まずは今どういう状況に置かれているかを確認するために名乗る。
「私の名前は[空十字 飴雪]って言うんだけど・・・・・・僕の名前は?」
今までかけられた事のない優しい声でそう聞かれた紫苑は何故自分にこんな態度を取るのか疑問に思い、もしや油断させてから捕獲してくるのではと思いつく。
もう一歩距離を取ってから名前は無いと伝えた。すると飴雪は名前すらもない紫苑に同情したのか慰めの言葉をかけた後思いもよらない言葉を放つ。
「私の家で暮らさない?」
紫苑は常軌を逸脱した発言に困惑し、硬直する。そしてすぐに正気を取り戻し、飴雪に正気なのか聞くが飴雪は真剣だ。だがそれだけでは信用に値しない、性格や家族関係などを軽く聞き出す。性格は問題なく、家族関係は両親は死に、叔父や叔母は疎遠、兄弟もいないとの事だ。
少し考え今ここで栄養を補給しておくのが得策だと思い付いて行くことにした。
「じゃあ・・・行こう」
歩き出そうとするが怪我している足を心配した飴雪が無理矢理おぶり、自宅へと歩を進め始めた。道中で今まで何をしてきたかを聞かれ、あったことを包み隠さず全て話した。飴雪は全てを肯定し慰めてあげた。
人の温もりを感じ、長年絶え間なく続いてきた緊張が解けてきたのか紫苑は眠ってしまった。飴雪は引き続き自宅へと紫苑を運び、到着するとベッドに寝かせてあげた。そしてお腹を空かせているであろう紫苑のためにご飯を作りのだった。
何時間か経ち、紫苑は目を覚ます。飴雪はお風呂に入るよう聞かせる、だが紫苑は風呂の使い方が何も分からないので一緒に入ることになった。
飴雪は使い方を丁寧に教えながらシャンプーをして、体を洗い、浴槽に浸からせる。紫苑は初めての風呂に少しワクワクしながらも気持ち良かったのでただゆっくり浸かっていた。
風呂を出るとあることに気づく、替えの服がない。飴雪は急いで押し入れを漁り小さい頃のジャージを取り出した。紫苑に着させると少し大きいが許容範囲内だったのでそれを着させることにする。
そうして風呂を出た二人はお待ちかねの夕食を取ることにした。飴雪が机へ持っていくと紫苑は手づかみで乱暴に食べ出すので、まずはフォークとナイフで食べるようにと差し出し、紫苑は初めてのフォークやスプーンに手惑いながらも沢山食べた。
食事を終えると飴雪が家の案内を始めた。どうやらアパートの一室のようで4LDK、日当たりも良く、立地も悪くないという中々良い物件だ。ただ他の住人と揉め事を起こさないようにと釘を刺される。
案内と説明を終えると紫苑は再度眠気に襲われていた、飴雪も明日は仕事があるので睡眠を取る。だがベッドは一つで布団はないので仕方なく狭いベッドに二人で寝ることにした、そうなると勿論紫苑は抱き枕状態になる。紫苑は窮屈そうに、だが人生で初めてとも言って良い温もりを感じながら眠りについた。
同年 7月6日
いい匂いと何かを焼いている音で目を覚ます。音がする方を見ると飴雪が朝食を作っているようだ。紫苑は促されるまま椅子に座り、ご飯が到着するのを待つ。
今日の朝食はトーストとハムエッグだ。紫苑は一日でフォークを使いこなし朝食を済ませる。飴雪は美味しそうに食べている紫苑を眺めながら手短に朝食を済ませ、皿を洗って他の身支度も全てテキパキと終わらせた。そして靴を履きながら紫苑に忠告する。
「大きい音とか立てないでね!あと散らかしたらちゃんと直しといてね!」
「うん。分かった」
飴雪は紫苑の頭を撫でると時計を見て焦りながら部屋から飛び出していった。飴雪がいなくなるとやることも無い、とりあえず適当に家の探索をする事にした。
昨日説明された部屋も詳しく見てみると案外面白い発見があるものだ。だが一時間もすれば飽きてしまう、何か面白い事はないかと探し回り、色々な物に触れどう使うかなどを一人で理解していった。
そうして遊んでいると右隣から怒声が漏れてくる、右隣の部屋は親のスネをかじって生きているニートのおっさんがいるらしい。紫苑は気になって耳を壁に当てる。どうやらおっさんは母親と電話で話しているようだった。
「だから金が足りねぇって言ってんだろ!・・・・・・うるせぇよ!早くしないと手遅れに・・・」
と何かを言いかけたところで極端に声が小さくなり、何を話しているのかが聞こえなくなった。紫苑は水道代や電気代の支払いができないのだろうと考え、どうでも良い事だったのでそのままリビングへで遊び始めた。
数時間が経つ、紫苑は腹を空かせながら飴雪の帰りを待っていり。日が暮れ始めた頃ドアあ開く音がした、紫苑はすぐにドアの方へと駆け寄る。
「ただいま。お昼は何か食べた?」
「何も食べてない」
「やっぱり!じゃあ今すぐ作るから待っててね」
飴雪は急いで晩飯を作り始めた。少し遠くからその様子を眺める、飴雪はちゃちゃっと作り皿に移してテーブルへと運んで行った。二人で食べ始めた。
食べている最中。飴雪が名前の事を口に出した。
「そういえば名前ないんだよね?」
「うん。苗字も知らない」
「じゃあ私が付けてあげよう!苗字は私と同じ空十字で名前は・・・」
名を付けようとした瞬間、紫苑が飴雪の後ろの方を指差し、あれは何かと質問する。その方向を見るとそこには花瓶がある。その花瓶にささっている紫色の花の名前を聞いているようだ。飴雪は花の名前と花言葉を教えた。
「あの花の名前は紫苑、花言葉は「君を忘れない」「遠くにある人を思う」「追憶」って言われてるね。だけどそれがどうかしたの?」
「昼から綺麗だとは思ってたけど見た事なかったし綺麗だったから」
飴雪はピンと来る。そして高々と少年に名を与えた。
「君の名前は[空十字 紫苑]!・・・・・・ノリで言ったけど・・・どう?」
「いいね」
「ホント!?じゃあよろしくね!紫苑!」
「よろしく」
名を得た紫苑は顔には出さずとも心の中で喜び、ご飯を済ませ風呂に入った。そして飴雪が風呂に入っている間に何度も自分の名を復唱して今度は顔に出して喜ぶ。
そんな事をしていると飴雪が風呂から上がって来た。そのまま寝ることになり、紫苑はこの楽しい生活が続くと思っていた。
だが現実はそう甘くない。もうこの生活は終わり、紫苑には地獄が待っているとは思ってもみなかっただろう。
同年 7月7日
紫苑が起きた時には飴雪は家を出ていた。置いてあった朝食を一人で食べてから今日は何をしようか考えていたその時、インターホンが鳴る。
背が低く、まだ覗き穴に届かないのでゆっくりとドアを開ける。隙間から見えた。インターホンを鳴らしたのは無精髭が生え、髪はボサボサのおっさんだった。
すぐに隣に住んでいるおっさんだと理解した紫苑は少し安心し、何の用か訊ねた。おっさんは「何かあったら叫べよ」と言って扉を閉めてしまった。
全く理解ができず頭に?を浮かべていたが気にせずベランダにある植物に付着している虫を観察する事にした。
空がオレンジ色に染まり出す。そろそろ帰ってくるだろうと思い、ソワソワしながら待つ、十分程経つとドアが開く音がした。
飴雪が帰ってきたのだろうと思い出迎えようとすると玄関の方から大きな音を立てて飴雪が走ってくる。そして紫苑に問い詰めるように聞く。
「鍵空いてたけど・・・ドア・・・開けた?」
紫苑は今日隣のおっさんが来た事を伝えると飴雪は一気に青ざめ、冷や汗をたらす。何かいけない事だったのかと紫苑が聞くと、飴雪は動揺しているのか紫苑の首元を掴み何故扉を開けたのかと怒鳴りつける。
ろくな思考も出来ない紫苑は何と言っていいのか分からず、頭が真っ白になり、あまりの気迫に涙さえも出てくる。
何も答えず泣き始めた紫苑に怒りを覚えた飴雪。その場にあったハンマーを紫苑の頭目掛けて振り下ろした。
常軌を逸した行動に「やめて」と叫ぶが飴雪は聞かず、力を弱めながらも的確に同じ場所を叩き続ける、その光景は異様なものだった。
そして十分間その状態が続き、意識が朦朧としてきた頃ある考えに至る。
死
直感的にも論理的にも死という終着点が近づいてきているのが分かる。「死ぬのは嫌だ」と叫ぶがその声は誰にも届かない。
未知数の恐怖に晒され、今まで這いつくばって生きながらえていたが、遂に神が微笑んだのだと思った矢先死ぬなんて嫌だ、ともがき苦しむ。
もうまぶたが持ち上がらない、死ぬんだ、そう思った瞬間だった。飴雪が一瞬にして吹っ飛ばされた。ふらふらで血を流しながら何が起きたのか確認しようとすると目隠しのように、何者かの手が紫苑の顔にかざされる。紫苑は何故だか分からない安心感に包まれ気を失った。
飴雪に攻撃したのは他の誰でもない、相棒[リアトリス]だ。飴雪は一般人の中では霊力が高い方で霊はぼやける程度には見えるのでリアトリスが攻撃したのを理解している。
「能力者なんて聞いてない!」
逆上しながらも立ち上がり、リアトリスに攻撃しようとしたその直後、飴雪の首が跳ぶ。あまりに一瞬の出来事だったので飴雪も少し意識があり、分断された自分の体を見て奇声を上げながら死んでいった。
首を跳ね飛ばしたのは一人の少女だった、小学生ほどの背丈に紫の髪、黒い服とズボン、その上に兎のような羽織、そして兎のバッグに兎の帽子、兎だらけのその少女は傍に刀を携えていた。
リアトリスは紫苑を護る事が出来る位置に移動した。だが少女は刀を鞘に収め、後ろにいるおっさんと軽く話してから部屋を出て行った。おっさんはリアトリスに敵ではないと何とか説明してから救援が来ると伝え、すぐに紫苑の応急手当てを始めた。
リアトリスも霊力の消費を抑えるためおっさんに紫苑を任せ還って行った。
そして数分して原とシャンプラーがやってくる、おっさんはその二人に説明すると二人は困り果てる。紫苑をTISに引き入れるか、放置か、はたまた島に転送するか。
どちらにしろリスクはある。なかなか判断が出来ず困り果てていると、唐突に部屋の中の霊力が二割ほど増える。
すぐに誰が来たか理解した三人は頭を下げた。來花だ。
「そんな事しなくていい、だがこの子はどうするんだ」
「僕らも困ってるんですよ、一番いいのはTISに引き入れる事なんでしょうけど・・・」
「もう子供を巻き込むのは止めよう」
その言葉に他の三人も賛成していた。この頃のTISは優秀な子供を何人も引き入れ茨の道へと背中を押していた。來花のは子供がいる為、それがどれだけ非人道的な行為かは実感していたのだ。
だがTISに入れないとなると放置か島に転送する事になる、が放置は論外。となると島に送る一択だ。
満場一致で幼き紫苑を島に送ることになった、だが本土から島へ送るには一度佐須魔に手伝ってもらわないといけないので、一旦TISの基地へ連れて行くことにした。
來花が抱え、歩き出す。原とおっさんも來花に着いていく形で部屋を出た。死体処理係のシャンプラーはさっさと触手達に飴雪の死体を喰らう様指示を出し、跡形もなく消し去った。
紫苑が目を覚ます、そこは基地のベッドだった。横には見知らぬ老婆が立っていた、老婆は紫苑が起きるとすぐに誰かを呼びに部屋を出て行ってしまう。
一分ほどして部屋に老婆を含め三人が入ってきた、紫苑は体を起こし誰が来たのか見てみると一人は佐須魔、そしてもう一人は巫女服を着て頭には気持ち悪いほど口角が上がった狐の面をしている長髪で白髪の女だ。
その女は紫苑の顔や体を舐め回すように観察してから名乗る。
「妾は[桐生 叉儺]じゃ。めちゃくちゃ強いのだ」
「俺は・・・・・・空十字 紫苑・・・ここは?」
「別に説明する必要はないよ、君は今から違う場所で暮らしてもらうからね。
今度暮らす場所は前みたいな暴力を振るってくるやつはいないよ、まぁ戯れで殴ってくるやつはいるかもしれないけど」
イマイチ状況が掴めない、だが佐須魔は構わずゲートを作り出す。そしてここを通るよう指示を出した。
紫苑は否定する理由もないので大人しくゲートを潜る。すると目の前の景色は一変し寮の部屋の一室へと飛ばされた。
そこには当時まだ小学生の薫だけがいて刀を構えて紫苑を睨んでいた。紫苑は慌てふためき、ゲートに戻ろうとするが既にゲートは消えてしまっている。
その様子を見て何かおかしいと感じた薫は刀を下ろし、話を聞いた。説明されすぐに納得し、理事長の了承を得るため、御伽学園へと二人で足を運ぶのだった。
「後はつまんねぇ話しかないから終いにしよう」
「じゃあ紫苑君はTISに助けられたの?」
「あぁ、そうだ。まぁでも敵ってことは変わりねぇけどな」
「・・・というかTISは悪い奴らなのかな・・・助けられたって話を聞く限り全てが悪い奴らってわけじゃなさそうだけど・・・」
「多分根はまでは腐っていない、だが何故ああいうやり方をするのかは俺にも分からん。結局は謎だ、そもそも学園にいる誰もがあいつらの目的を知らないしな」
「え?前紫苑君が言ってた元TISっていう英二郎先輩も?」
「そこの部分だけ綺麗に抜け落ちてるらしい、ライトニングなら覚えてると思うが絶対に教えてくれないそうだ。まぁ何らかの契約でも結んでるんだろうな」
「そっか・・・」
そんな話をていると、少し先に木が覆い茂る雨林地帯が見えて来た。ゆやく着いたと一息つき、雨林地帯に突入しようとしたその時だった。
その少し先、二人の少女が立っていることに気がつく。一人は深緑のような髪色で、黒いローブのような物を着ている。そしてもう一人は浴衣で、長髪、和傘を差し、桃色の髪、そう[櫻 咲]だ。
紫苑が様子を見ようと提案したが、隣にいたはずの流は咲に向かって歩いて行っている、止まれと言うが流は吸い込まれるように二人の少女に向かって歩を進めていた。
流がいることに気付いた少女達は咄嗟に二方向に別れて走り出す。流は当然咲を追いかけた。
もうしょうがないと割り切り、後ほど合流しようと叫び、ローブの少女の方を追いかけた。
流は西へ、紫苑は東へと分かれてしまった。
紫苑は全速力で追いかけるが、少女はそれよりも少し速くジリジリと差をつけられていく。その少女が誰かは見当がついていた、だがそうだとしたら絶対に追いつくことは出来ない。
ただ差はつけられても常時視界に入るよう心がければいいだけの話、そうして約五分走り続けた所で少女が急停止する。紫苑も止まり、少女に声をかける。
「おい!真浪!」
真浪と呼ばれた少女は振り返りニヤッと笑い口を開く。
「分断成功」
「めんどくせぇことしやがって」
「しょうがないじゃない、だってあんたは今ここで敗北する」
紫苑はきょとんとして何かあるのかと周りを見渡すと同時に理解し、笑いが込み上げてくる。ここはドーム内だ、完全に嵌められたのだ。だが逃げない、それどころか躑躅がやった事を真似した。
「ドーム展開」
即座にドームは展開され、外と完全に遮断された。真浪はクスクスと笑う、何がおかしいと聞くが笑いながらローブを少し脱ぎ答える。
「私に勝てるって、本気で思ってるの?」
目を疑う、真浪の事は知っていたが彼女の能力を把握していなかった。それが命取りになったのだ。
真浪の首から下は全て機械で構成されていた。苦笑いを浮かべ、少し焦り出すがもう遅い。着いて行ったのが運の尽き、紫苑は絶体絶命の窮地へと追い込まれたのだ。
第六十四話「赤雪滴り」
2024 3/20 改変
2024 3/20 台詞名前消去




