第六十三話
2024 2/1 改変
2024 2/1 台詞名前消去
御伽学園戦闘病
第六十三話「抑えきれない衝動」
『オーディンの槍』
蒿里はグングニールを手にし、物凄いスピードで距離を詰める。対してベロニカはしっかりと捉え、後ろに引く。だが虎子は反応が遅れた。ただ他の対処法はある、間に合わないと感じたので頭部に付いている面をかざしながら唱える。
『降霊術・面・狐』
すると体から真っ白な狐が飛び出して来た。そして蒿里はそれに対抗するように、冷静に術式を発動した。
『|漆什弐式-伍条.衝刃(しちじゅうにしき-ごじょう.しょうは)』
これは工場地帯で神と戦った際にも使用した鋭い衝撃波を飛ばす術式である。手始めに霊力を一握り程度込めて衝撃波を放った。
だが狐はびくともしないどころか毛の一本も散らさず立ち尽くす。蒿里が次の術を唱えようとした瞬間狐の後ろから「私がやります」と言う声と共にモップを持ったベロニカが飛び出してくる。
「身体強化!」
そう叫ぶのとほぼ同時タイミングでベロニカがモップを振りかざす、蒿里はグングニールや術式などで受け流すわけではなく体で受けた。直後人間とは思えない強靭さを見せつけ、逆にベロニカの攻撃を弾き返してしまった。
反撃が来てはまずいと距離を取ったベロニカはふと気になった事を問う。
「あなたは能力何個あるんですか」
「回復術、降霊術、オーディンの槍、念、術式とかまだ沢山あるよ」
「はぁ!?そんな持ってるとかインチキよ!」
「虎子さん、持ってるものはしょうがないです。私達は目の前の敵を排除するだけ、集中しましょう」
そう言いながら再び蒿里との距離を詰めようとしたが、グングニールを投げられた。勿論ベロニカへと直進していく。だがベロニカは地面を蹴って高く跳んだ。
そしてそのまま飛んでくるグングニールを踏み台にし、更に加速した。眼前まで移動したので地に足をつけ、横スイングでぶん殴る。
蒿里は防御もせずに殴られ、ほんの数秒固まった後不敵な笑みを浮かべながら言う。
「ちゃーんと見なきゃいけないよ。メイドさん」
その刹那ベロニカの背後から迫るオーディンの槍の影、気付き振り向くが既に遅い、。グングニールは腹部をあっさりと貫通し蒿里の手元へ返還された。
体内から血が逆流する。吐血し座り込む、だがそれも計画の内なのだ。座り込んだベロニカの後ろには虎子が虎の面をかざしてスタンバイしていた。面をかざしているなら勿論唱えるだろう
『降霊術・面・虎』
元気いっぱいな虎子とは裏腹に冷酷な眼をして、身体には細かくも美しい模様を携えている虎が召喚された。蒿里は自分だけでは手をわずらうと判断し呼び出した。
『降霊術・神話霊・アヌビス』
そう唱えると手には棒を持ち、体は人間だが首から上が犬の霊が姿を現した。虎霊は噛みつこうとするがアヌビスが手にしている棒を振る。すると凄まじい霊力が放たれ虎は怯んでしまった。
すかさず狐が攻撃を仕掛けるがアヌビスは華麗にかわし、本体の蒿里は後ろに下がる。だがその行動は命取りだった、何故か目の前にベロニカがいるのだ。
何が起きたか一瞬理解できず固まった。その隙を突いてベロニカはモップをふりかざす。だがそのモップは蒿里にあたらずアヌビスの棒のぶつかる、回避をさせる間も無くベロニカごと薙ぎ払った。
「ベロニカは一旦下がって!」
その言葉通り虎子の方へ向かおうと立ちあがる。とその時、ベロニカの喉から血が吹き出す。見てみると首にグングニールが刺さっている。
振り向き、蒿里の方を見るとどうにもつまらなさそうな顔をしている。ベロニカは宿題を解きたい。なのでこんな盤面でも力を振り絞って訊ねる。
すると蒿里は驚きながら言葉を詰まらせる。そして静寂が続き、数秒後口を開いた。
「戦闘は楽しむものじゃないよ」
「ですが兵助さんは楽しむものだとおっしゃいましたし、現に私も少しだけ楽しんでいます。ですが貴女は何故楽しまないんですか?」
「こんなの・・・・・・私だってやりたくないもん・・・・・・」
「ですが・・・」
「うるっさい!!!」
蒿里は身体強化を最大限に使用しベロニカを殴り飛ばした。ベロニカはその言葉を境にまぶたを閉じ意識を失った。
虎子はすぐさま駆け寄ろうとするが首が苦しい、まさぐるように首元に触れる。気づくことすらできなかった。いつの間にやら蒿里が音も立てずに近寄り、虎子の首を絞めていたのだ。
そんな中蒿里がある質問をする。それは至極簡単な質問だった、その質問とは「何故戦うのか」だ。何故私達は能力を受け戦い、傷つけて合うのだろうかと問う。虎子はどうにか手を引き剥がせないかと必死になりながらも答えを出す
「そんな事も分からないなんて先輩もまだまだお子ちゃまなんですね」
蒿里はより一層怒りを露わにしながら更に強く首を絞める、虎子は次第に息が出来なくなり、目を閉じた。完全に意識を失ったところで手を離し自分の強さを怨む。
何故こんなにも強いのか、どうして強くなくてはいけないのか、だがそんな事を考えている暇は無い。すぐに二人は回収され頭上からあの憎たらしい声が聞こえてくる
『はーいお疲れ様ーどうかな?答えは見つけられたかなー?』
小馬鹿にする笑いを含みながら聞いてくるが蒿里は今怒りに溺れているので耳から耳へと流れる。女は少し不貞腐れたような声に変わりながらもヒントを与えた。
『ヒントは[と]ね。じゃあバイバイ』
ヒントを与えると同時にドームを解除した。
蒿里は怒りに溢れ、そのうち感情を抑えきれなくなり泣き出してしまう。どれだけ泣いてもその感情が治ろうとしない、二十分間も泣き続けもう涙も枯れ果てた頃泣き疲れたのかストンと眠りについしまった。この感情を受け止める事の出来る人物はいるのだろうか。そんな不安なども涙でかき消した、
そうして蒿里のヒステリックが治ると共に、第五戦は幕を下ろした。
第六十三話「抑えきれない衝動」




