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【完結】御伽学園戦闘病  作者: はんぺソ。
最終章「終わり」
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第五百六十四話

御伽学園戦闘病

第五百六十四話「集めて」


戦闘終了から実に二ヶ月が経過した。島には誰も戻って来ていない、もうここは人が住むべき場所では無いのだ。ただそこで行われる事になる、策が。


「さて、皆準備は出来ているな?」


能力館に集められる。

全員疲労は抜け切っている。レアリーの精神状態は安定したが、漆はまだ不安定な所があるものの何とか日常生活に支障は無いぐらいには回復しているようだ。

蒿里も以前の様に明るくなっている。エスケープの基地で兵助、蒿里、紫苑、ルーズ、桃季の五人で暮らしている。そのおかげか桃季も少しずつ向き合えているようだ。


「よし!お前ら、今日で大半の能力者は解放される!失敗は許されないぞ!」


「既に放映してしまったからな。これで失敗なんてしたら…ゾッとするな」


ライトニングは能力取締課を抜け、名を戻した。一応眼帯を付けて今まで通りの服装に戻している。

一方薫は回復しているように見えても何だか疲れている様に見える。


「そんで今から説明してくからな。質問は説明し終わってからだ」


そう前置きしてから薫は説明し始めた。


「俺の能力を使って全世界の能力を吸収する。どうやって全世界に範囲を広げるかと言うと、広域化を使用する。俺と、ニアの」


ルーズが反応を示したが一旦抑制して質問を留まらせる。


「問題は俺が吸収している間に限界が来て中途半端に終わる事だ。それを阻止する必要がある。簡単に言えば、人柱が必要だ。俺を介して全ての能力を受け止める器、正直今ここにいる奴らなら誰でも出来るだろう。ただし死んではいけない。どうやって死なせないか…これだ」


そう言いながら取り出す、一本の錆びた刀。


「岬、簡単に言えば神になって貰う。正真正銘、神だ。質問して良いぞ」


一番に手を挙げたのはルーズだった。


「ニアは…どうやって?」


「零式で起こす。俺はまだ一回分残している」


「…!でもそれじゃあ罪に…」


「既に許可は得てある。ニア自身の意思なんだ、否定してやるな」


何も言い返せず受け入れるしかなかった。

次に手を挙げたのは漆だ。


「あ…神にしたら、佐須魔と同じ風に…」


「ならない。あれは本人の資質、性格の問題なんだよ。だからここにいる奴がそうならないとも限らないが…少なくとも俺はお前らを信用してこれを見せている」


納得する。大丈夫だろう。

すると紫苑が質問した。


「大体分かったけどよ、それ残党狩りどうすんだよ」


まだ残党狩りは出来ていない。


「効果範囲外結界を作ってもらう」


薫がもう一つのパーツを取り出す。それは何処か見覚えのある素材の四角形だった。

だがそれを見た瞬間桃季は立ち上がって呆然とした後、明確な怒りを薫に向けて干支辰を出す。


「桃季、大丈夫だよ。シウと話した結果だ」


兵助がなだめる。納得はいかないが感情を押し込んだ。


「悪いな。俺もこんなのしたくは無い」


それはシウの意識そのもの、柱の一部を切り取った物だ。だがこれが無ければ小さな結界すら作れない。仕方が無いが持ってくる他無かったのだ。


「さて、最後の質問になるな。俺からだ、誰が神になる」


より一層重い雰囲気になる。理事長は出来れば手を挙げたかったがやるべき事が多すぎるのだ。ライトニング(サーニャ)も残党狩りには必須。ならばと兵助が出ようとすると桃季が裾を強く掴んで静かに引き留めて来る。

漆とレアリー、蒿里は恐怖で声を上げられない。

そんな時だった、一人立ち上がる。薫の目を見つめながら、大きく。


「…分かった。二言は無いぞ、エリ」


「分かってる。私だって役に立ちたい。それに残党狩りとか革命とか、これからの事で一番不要なのは私でしょ」


誰も否定しない。その通りだからだ。


「そうだな。お前が成ってくれ」


決まった。全てが。


「じゃあまずニアを起こす」


薫は零式を使用してニアを蘇生させた。既に埋葬したのだがちゃんと出て来てくれた。


「…えっと…能力館、ですか」


「おう。決まったぞ、エリだ」


「分かりました。いつ、やるんですか?」


「今すぐだ。出来る限り最速で」


「了解です。では準備しておきますね」


ルーズと紫苑は早速ニアに話しかけに行っていたが他の人物はそれどころじゃない。どうやって神化するかを訊ねている。


「これで少しだけ神にする。その瞬間全部ぶち込む」


「でもそれだと一時の安息にしか…」


サーニャが言おうとしたが薫が割り込む。


「広域化、俺の能力も渡す。分かるだろ」


「…ずっと、人柱にさせるつもりなのか」


「そうだ。それ以外に能力を無くす方法が無いんだよ、遺伝子に刻まれてんだからよ」


「それもそうか…だがお前の能力を渡すのか?」


「俺絶対死ぬからな、流石に耐えられない」


「なっ…」


「だからお前に頼んで良いか、サーニャ。俺の魂を破壊してくれ」


何故そんな提案をするのか、理解するには少し時間がかかった。だが理解すると同時に拒否なで出来なくなってしまった。


「…同じ場所に行ける訳では無いんだぞ」


「分かってる。でも可能性があるのなら、俺はそっちに賭ける。それにもう俺がいなくても何とかなるだろ、黄泉は」


「……そうだな。分かった。引き受けよう」


そんな所で準備が終わった。エリは岬を握っていつでも霊力を流せる状態にしているし、ニアも広域化の準備が出来た。後は薫だけだ。

兵助の方を見て言う。


「今まで、ありがとな。後悪い、一人にしちまう」


「大丈夫だから。始めよう」


「あぁ。ニア」


「はい」


ニアが能力を発動する。それに被せる様にして薫が広域化を使う事によって範囲が広がって行く。更にニアは遅延で置いておいた広域化を発動させる事によって範囲が物凄い勢いで広がって行く。

二人の高速発動によって三十秒も経たぬ間に全世界が広域化に包まれた。一番の懸念点はここで能力者が攻撃能力を使う事だったが、既に規制はしてある。伽耶と紀太だけが不安だったものの、大丈夫そうだ。


「行くぞ!」


薫が能力を発動すると同時にエリが霊力を流す。今までに無い異常な感覚を覚える。だがそこまで体に異変を感じた訳では無かった。ただ霊力が増えた、その程度の実感でしかなかった。


「良いか!?エリ!」


薫の体は限界に近付いているのか少しずつヒビが入っている。


「うん!」


準備万端、いつでも大丈夫だ。

薫は激痛に襲われながらも何とかエリに触れ、尋常じゃない量の能力を流し込む。神となればそれぐらい余裕だと思っていたが実際辛い様で苦しそうな顔を見せている。

その状態が二分程続いた。一瞬にして全ての能力が停止され、静寂が訪れると同時に薫は倒れた。血などは流していないが体が限界を迎えたのだろう。


「よくやった、後は私達に任せろ」


サーニャはライトニングで薫の魂を斬った。


「皆、能力は使えるか?」


理事長が問いかける。範囲除外の結界は既に生成されていたので全員大丈夫だ。


「……私、行くね」


エリはゲートを生成する。


「何処に!」


桃季が訊くと振り向く事さえせず答えた。


「あそこ」


そう言いながら手にはシウの意識部分を持っていた。潜り、消える。


「……これで、良かったのかな」


蒿里がふと零す。


「良かったよ。少なくとも僕ら以外の能力者は力を失った訳だから……後は、多分回避してるはずだから、潰そう」


残りは残党狩り、その後の社会参入のみ。

少なくとも能力者はほとんどいなくなった。大きすぎる進歩だ。


「早速準備を始めよう!紀太と伽耶を潰すよ!」


全て、終わりだ。



第五百六十四話「集めて」

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